ザ・クラッシュ(The Clash)『The Essencial Clash Plus』
クラッシュのベスト盤やコンピレーション盤はいくつかリリースされているが、「The Essencial」シリーズのクラッシュバージョンは結構お得だ。ワタシが持っているのは、CD2枚組プラスDVDというパッケージになっている。
まずはCD。ほぼ時系列にしてはいるが、ディスク1は『White Riot』 で始まり、初期の曲が並ぶ。改めて聴くと曲名が直接的で、かつサビになっている曲が多い。メッセージをストレートに伝えるには、その方がよかったのだろう。ディスク2は、『London Calling』 でスタート。音楽的にも、演奏も、成熟が伺える。『Sandinista!』期前後の音楽が、思った以上にレゲエに寄っていたことには、改めて聴いてみて驚いた。ラスト『This Is England』は、バンドの黒歴史状態の『Cut The Crap』からのセレクトだ。
注目はDVDだ。PVは見慣れた『London Calling』をはじめいくつかあるが、ライブ演奏をPVにしているのは嬉しいところ。クラッシュはライブアルバムはリリースしているが、純粋なライブ映像作品はリリースされていないし。通常はジョー・ストラマーがセンターだが、ミック・ジョーンズがリードヴォーカルの『Train In Vain』では、2人の立ち位置は入れ替わり、ミックがセンターになっていた。
「Hell W10」は、ジョー・ストラマーが監督した、モノクロのサイレント映画だ。ミック・ジョーンズがギャングのボス、ポール・シムノンがチンピラを演じていて、正直言ってファン度が試される。マストとは思わないが、貴重な映像だ。83年に制作され、全米ツアーに伴い中断しそれきりになってしまったとのこと。つまり、時期的にはミック・ジョーンズ脱退の少し前に当たると思われる。
本作のリリースは2003年。クラッシュがロックの殿堂入りを果たし、前年の暮れにジョー・ストラマーが亡くなっていた。再びクラッシュに注目が集まりつつある中での、一見初心者向けだがマニアの趣向にも対応した作品だったのだ。
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