スター・ウォーズ エピソード9 スカイウォーカーの夜明け(ネタバレ注意)
死んだと思われていたが、意識が残存しシステムに接続していた、シスの暗黒卿ことパルパディーン。カイロ・レンにはレイを倒すことを指示し、レンはパルパディーンの力を譲り受けるべくそのことばにのる。一方レイたちは、銀河地図に載っていないパルパティーンのいる惑星エクセゴルの位置を探るべく、ルークが過去に調べていた惑星パサーナへ向かう。
パサーナにて、エクセゴルの手掛かりとなる短剣をファーストオーダーに奪われてしまったレイたち。C3-POのメモリーから短剣に刻まれていた文字を解読し、デス・スターの残骸にエクセゴルの位置を示すコンパスがあることを知る。また、レイと対峙したカイロ・レンは、レイに彼女の出生の秘密を話す。
エピソード7から始まった「続3部作」の完結編であると同時に、42年に渡ったスター・ウォーズ・サーガ全9部作の完結編になる。優れた続編たるために必要なのは、「継承」と「独自性」だと思っている。そしてこの作品は、もちろんこれまでの作品と同様、どちらも十分すぎるほどに満たしている。
まずは「継承」。公開前から登場が噂されていたランド・カルリジアンは、かなり早い段階で登場する。「悪い予感がする」という定番セリフは、今回この人が言う。歳をとり体型も変わったが、演じているのはエピソード5・6と同じビリー・ディー・ウィリアムズだ。
エピソード8公開前に亡くなったキャリー・フィッシャーだが、今回レイア・オーガナ将軍は終盤前までふつうに登場。撮りためていた映像だけで、よくぞ違和感なく仕上げられたなと思う。予告編では高らかに笑う声だけだったパルパディーンも、しっかり登場する。そして、あの人やあの人も、残留思念として主要キャラクターたちを支え、導いている。
惑星エクセゴルの位置を示すのが、エピソード6でルーク、ダース・ベイダーの最後の戦いの地となった、第2デス・スター跡だ。パルパディーンはここで命を落とした(ことになっていた)ので、それがパルパディーンのいる場所の手がかりになっているのは、筋が通っているとも言える。終盤の決戦では、スター・デストロイヤーがイヤというほど出てくる。そんな中、ミレニアム・ファルコン号が軽快に飛び続けるさまは気持ちがいい。
そして「独自性」だ。「続3部作」は、レイやフィン、ポー、そしてカイロ・レンたちネクスト・ジェネレーションの物語だ。奴隷として、否応なくストームトルーパーにさせられ脱走したフィンだが、今回同じように脱走した者たちとの邂逅がある。ポーの過去も少しだが明らかになり、かつての恋人らしき人との再会もある。
そしてなんと言っても、今まで謎とされてきたレイの出自が、今回ついに明らかになる。序盤から匂わせていたのでそうかなあと思ってはいたが、結構衝撃的だ(それだけにラストの彼女のことばは納得だし、それは本作のサブタイトルにも掛かっている)。
感動の場面もある。エクセゴンの手掛かりを得るため、C3-POのメモリーを言語化することに。しかし、そのためにはC3の記憶を消さなくてはならず、その直前、C3は「友人たちを目に焼きつける」と言ってレイたちを見つめる。演じているのは、アンソニー・ダニエルズ。シリーズ9作全てに出演している、唯一の人だ。また、かつてエピソード5でハン・ソロがレイアに言った「I know(知っている)」を、今回はあの人があの人に語りかける。
クライマックスはレイとパルパディーンとの対決になるのだが、圧倒的な力の前になす術がなくなったレイ。「共にあれ」のことばを何度もつぶやき、すると、歴代ジェダイの声が聞こえてきてレイを後押しする(序盤にレイが修行する場面があり、そのときは何も聞こえてこなかった、という伏線があった)。ワタシがその場で聞いてわかったのはヨーダのフランク・オズだけだったが、エンドロールではアナキン・スカイウォーカーのヘイデン・クリステンセンの名前を確認した(流れるのが早くて、全員は確認できなかった)。
スター・ウォーズ・シリーズに主要キャストとして出演した人は、俳優人生においての勲章をもらったようなものだ。ポーのオスカー・アイザックは、以前「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」で観たことがあったが、本シリーズで兵士からリーダーに成長した。フィンのジョン・ボイエガは、今後飛躍していくことだろう。
カイロ・レンのアダム・ドライバーは、既に他の役でも技量を発揮しているが、今回の「完成されていない悪役」という難しい役どころは、代表作のひとつになるはず。そして、レイのデイジー・リドリーだ。シリーズ初の女性主人公はプレッシャーもあったはずだが、ひとりの戦士としての成長あり、ルークやレイア、ハン・ソロからの伝承ありと、彼女は見事にこなしたと思う。
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