ナンバーガール(Number Girl)Tour 2019-2020『逆噴射バンド』@チームスマイル・豊洲PIT
2002年に解散し、今年2019年に復活したナンバーガール。ツアーのチケットは入手困難化していたが、奇跡的に「逆噴射バンド」初日分を入手することができた。キャパシティ3100人の豊洲PITにおいて、ワタシの整理番号は3000番台と、ほぼ最後(笑)。しかし、同じ空間を共有できることの喜びの方が勝っている。
ほぼ定刻に客電が落ち、テレヴィジョン『Marquee Moon』がSEとして流れる。そうだ、向井は自分のベストフェイバリット曲をSEに使っていたんだった。やがてメンバー4人が登場し、これだけで場内は興奮の坩堝に。ついに、この瞬間がやってきた。
向井の「新富町から~」というMCを経て、オープニングは『鉄風 鋭くなって』だ。中尾憲太郎が激しくベースをかき鳴らし、3人もそれに呼応。そして、定番MC「福岡市博多区からやって参りました~」の後に『タッチ』。個人的に、ナンバーガールの出だしといえばこの曲というイメージがあったので、早々に演奏してくれて嬉しかった。
個人的に、まず目が行ったのが中尾だった。この人、こんなにマッチョでがっしりした体格だったっけと驚いた。長髪を振り乱しながらベースを弾きまくり、リズムキープというよりも向井や田渕ひさ子のギターに対抗するかのような攻めのプレイに唸らされた。存在感のあるベーシストは、かなり稀だ。
次に注目したのが、田渕ひさ子だ。先日のMステでは、椎名林檎のバックで黒のロングドレス姿でギターを弾く姿が凛々しかった。今回は、水色のTシャツを着て軽装で、イメージ通り。しかし、ジャズマスター(あるいはムスタングか)をかき鳴らす姿はやはり凛々しく、勇ましかった。あの華奢で小柄な体のどこに、あんなパワーがあるのだろうか。
アヒト・イナザワは、ただでさえ後方ドラムセットに陣取っていて見えにくく、そしてフロント3人が激しすぎるためにほぼ目立たない。しかし、ナンバーガールにはこの人が刻むリズムが必要だったはずだ。アヒト本人によれば、自分のドラムで歌えるのは向井だけ、とか。
そして向井だ。赤ボディーのテレキャスターをチューニングし、曲間には頻繁に水分を摂っていた。ギターもヴォーカルも、以前と印象が変わることはない。ZAZEN BOYSで何度も観ているが、ZAZENはバンドを統率し牽引しているイメージがあるのに対し、ナンバーガールでは各メンバーと阿吽の呼吸でコンビネーションを成立させているように見える。
『透明少女』『IGGY POP FAN CLUB』といった代表曲を序盤で演奏してしまったが、かと言ってそれ以降がだれるはずもなく、終始高いテンションにてライブは続いた。向井は短いMCを頻繁に発し、メンバーがインターバルを取っているときには、フロアから応援やヤジなどが入り乱れた。共通しているのは、この日この場に集まった人たちは、待ち望んでいたということだ。「今日のチャレンジ」という恒例のコーナーがあるらしく、この日は『NUM-AMI-DABUTZ』。向井によるラップのような言葉数の多い歌詞と、田渕ひさ子によるリフが、心地いい。『TATTOOあり』でも田渕のリフが冴え、この人は女性ギタリストとしては唯一無二だ。
本編の終盤、改めて向井は「福岡市博多区から~」と言い放ち、アヒト・イナザワの激しいドラムイントロ。この「タメ」は助走だ。そしてその瞬間を迎えたときの歓喜と言ったらたまらない。そう、『OMOIDE IN MY HEAD』だ。この日何度目か、そして恐らくはこの日最大に場内が爆発した瞬間だった。本編ラストは『I don't know』、アンコールでのオーラスはまたもや『透明少女』だった。アンコールの曲って、その場のノリで決めるのかな。
セットリスト
1.鉄風 鋭くなって
2.タッチ
3.ZEGEN VS UNDERCOVER
4.EIGHT BEATER
5.IGGY POP FUNCLUB
6.裸足の季節
7.透明少女
8.夕焼小焼(向井秀徳弾き語り)~YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING
9.NUM-AMI-DABUTZ
10. SENTIMENTAL GIRL'S VIOLENT JOKE
11. DESTRUCION BABY
12. MANGA SICK
13. SASU-YOU
14. 喂?
15. U-REI
16. TATTOOあり
17.水色革命
18.日常に生きる少女
19.転校生
20. OMOIDE IN MY HEAD
21. I don't know
アンコール
22.桜のダンス
23.KU~KI
24.透明少女
個人的に、解散前のナンバーガールを3度観たことがあるが、いずれもフェスやイベントなどで、つまり短縮セットだった。単独公演フルセットを観るのは、今回がはじめてだった。彼らの世界観を、たっぷりと堪能した。向井のキャラクターこそもろ和風だが、音や演奏はピクシーズやダイナソーjr.と大差ない、ノイジーでメタリックでポップで、そして少しだけ切ない轟音ギターロックだった。
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