細野晴臣50周年記念特別公演@東京国際フォーラム ホールA
入場時にもらった冊子一式の中に、この日と翌日公演についてのフライヤーが入っていた。各日出演するアーティストたちを紹介しているのだが、なんとこの日のセットリストが掲載されていた。
ほぼ定刻に客電が落ち、まずはバンドメンバー4人だけで演奏開始。インストで、セットリストによると『銀河鉄道の夜』サントラの曲のようだ。演奏が終わるくらいに、細野晴臣その人登場。セミアコを抱え、歌い始める。
細野はグレーのスーツにインナーには深紅のタートルネックを。見た目はおじいちゃんだが、椅子に腰掛けることもなく、直立しマイクスタンドを前にして歌いながらセミアコを弾く。調子もよさそうだ。
MCも豊富。海外ツアーをしたのが半年前だが、つい最近のことのように感じていること。今年50周年で、来年は休めるかなと思っていたら、海外からオファーがあったので引き続き活動すること。いろんな名言を目にするがすぐ忘れてしまって、最近見て覚えているのがローランドの「男には2種類、オレとオレ以外」だったとか。ゆる~い雰囲気だが、それがグダグダにならないところが、この人の懐の深さだ。
中盤でゲスト登場。Reiという女性シンガーソングライターで、細野のラジオ番組で共演をオファーされたとか。1曲は細野と共演、もう1曲は細野もバンドも捌けてこの人のソロになり、セミアコを激しくかき鳴らしながら英語詩で歌い上げていた。一瞬、クリーム『I'm So Glad』のリフを組み込んでいたように聞こえたが、気のせいだったかも。
バンドは4名。キーボード/アコーディオン野村卓史、ドラム元サケロック伊藤大地、ベース伊賀航、ギター高田漣。4人とも、どこかしらで必ずソロを披露し、腕利きであることを伺わせた。伊賀と高田は来年で15年になるそうで、現在の細野の活動を共にしてきた忠臣だ。個人的に、細野の次に注目したのが高田で、ストラトだけでなく2段になったラップスティールを駆使し、マンドリンやバンジョーまでこなしていた。
曲調そして雰囲気としては、古きよき時代の音楽のようであり、トロピカル期に通ずる無国籍風のようでもあり、かなり独特。しかし古臭くはなく、むしろ新鮮な音として鳴っている。ステージには装飾はなく、ライティングも最低限に留まっていて、1曲だけ大きなミラーボールが降りてきて、きらびやかな光を発する演出があった。
終盤では『Sports Men』を、しかし原曲とは異なるトロピカルなアレンジでの演奏に。そして本編ラストでは、ブギウギピアニストという斉藤圭土が加わった。アンコールでは、「やっぱりやらなくっちゃね」という細野のMCで『北京ダック』『Pom Pom 蒸気』を。自身の演奏を終えると細野はひと足先にステージを後にし、バンドだけの演奏がひとしきり続いて幕となった。
セットリスト(フライヤーより)
ライブの冒頭、細野はこの日のライブを「総決算」だと言っていた。今年のツアーの最終であり、また50周年に掛かるさまざまなイベントの終着点という意味だろうか。となると、翌日のはフィギュアスケートで言うエキシビション的な位置付けになるのかな。
関連記事
-
「細野晴臣デビュー50周年記念 細野観光」を観に行ってきた
六本木ヒルズの展望台である東京シティビュー内で開催されている、「細野観光」に行ってきた。タイ
-
細野晴臣ドキュメンタリー『SAYONARA AMERICA』を観た
細野晴臣が2019年にアメリカで公演を行い、その模様がドキュメンタリー映画として公開された。
-
Listen To The Daxophone #2@アートフォーラムあざみ野
マイクを内蔵した木製のサウンドボックスにタングと呼ばれる木片を組み合わせて弓などで弾く楽器、
-
「細野晴臣 NO SMOKING ノースモーキング」を観た
細野晴臣が今年デビュー50年を迎え、アニバーサリーイベントが目白押しだ。先月は恵比寿ガーデン
-
「Listen To The Daxophone」展
アートフォーラムあざみ野でのダクソフォンのライヴでは、ダクソフォンの展示も併せて開催されてい