U2『The Unforgettable Fire(Deluxe Edition)』
u2が1984年にリリースした通算4枚目のアルバム『The Unforgettable Fire』が、デラックスエディションとして再発されていた。オリジナルCD、ボーナスCD、ボーナスDVDという内容で、装丁は『The Joshua Tree』のデラックスエディションとほぼ同じ大きさだ。
まずはCD。オリジナル盤はリマスター処理がされ、音に奥行きが出てきたような感覚を受ける。ボーナスCDは、この時期のシングルのカップリングや未発表ライヴ音源など。アムネスティ・インターナショナルに提供した曲が収録されていたのは、儲けた気分である。
DVDは、この時期の映像を集約したものだ。VHSでリリースされていたPV集やアルバムのメイキング(実は2003年リリースのライヴDVD『Go Home: Live From Slane Castle』にも収録)、ライヴエイドのパフォーマンスなどだ。初出はないと思われ、寄せ集めの感は拭えない。そこが『The Joshua Tree』デラックスエディションとの決定的な違いだが、ワタシは、総集編的な内容での再発を否定はしないし、むしろ歓迎する。
当時はこの作品を聴いていて、全体的に地味な印象だった。今回改めて聴いてもやはり地味だとは思うが、渋味と味わいが聴きごたえとして受け取ることができた。もっと再評価されていい作品ではないかと思う。その最たるが『Bad』で、ライヴエイドの演奏でも長尺となってドラマ性を帯びている。こんにち、この曲はライヴでのマストソングにはなっていないが、『Pride』に劣らず、『MLK』にもひけを取らない名曲だ。
プロデューサーにブライアン・イーノを迎え、アメリカと向き合い始めた作風は、次の『The Joshua Tree』にて結実する。
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