kotoba ブレードランナー2019-2049
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最終更新日:2024/04/19
ブレードランナー ジョジョ, フィリップ・K・ディック, ブレードランナー, リドリー・スコット
年4回刊行されている『kotoba』という雑誌があって、2018年春号はブレードランナー特集号だった。とても読みごたえがあった。
『ブレードランナー2049』(以下『2049』)が公開されたのは、2017年秋。その当時も関連書籍はいくつか刊行されたが、前作『ブレードランナー』(以下『2019』)の紹介や考察が中心だった。『2049』に言及するのはネタバレになってしまい、どの執筆者もやりたくてもできなかったのだろう。
しかし、公開から半年を経て刊行された本書は、両作品を関連づけた考察が多く、そればかりか原作者であるフィリップ・k・ディックの作品にまで触れている。発売と同時に購入して読み、今回読み返した。当時も、そして今回も、面白かった。
レイチェルとKは、共に自分の出自に不安を抱いていた。ロイ・バッティとジョイは、自分が人間ではないことを認識しつつ、だからこそ人間らしくあろうとした。ジョイはAI、ほか3人はレプリカントだが、ある意味人間以上とも言える葛藤を抱えていることを指摘しているのが、冒頭のテキストだ。
インタビューを取った面々もツボを得ている。『2019』『2049』の双方で脚本を担当した、ハンプトン・ファンチャーのコメントを取ることに成功したのは、ただただすごい。どちらもリドリー・スコットに大幅な修正を求められ、そこで制作から離れてしまったが、作品に携われたことには喜びを感じているようだった(『2019』はデヴィッド・ピープルズが、『2049』はマイケル・グリーンが後を引き継いで修正を担い、クレジットは共にハンプトンとの連名になっている)。
『2049』公開に先駆け、『2019』との間をつなぐショートムービーが3本制作されていて、うち1本『ブラックアウト2022』を監督したのが日本人アニメ監督の渡辺信一郎だった。『2019』の影響についての解説や、今回の制作に関連して『2049』の制作現場を見学できたことなどを語っていた。『ジョジョの奇妙な冒険』の作者である荒木飛呂彦は、第3部のDIOはバッティの影響を受けていることを明かしていた。
ディック作品の解説は、ほんとうにありがたい。個人的に、映画化された作品の原作を追うことからはじめて少しばかり作品を読んでいるが、次に手をつけるべき作品の道標になる。ディックの非SF作品に登場する女性がレイチェルで、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』のレイチェルとキャラクターが似通っているというのは、興味をそそられる(残念ながら未邦訳とのこと)。
本書は現在絶版状態だが、ブレードランナー関連の記事を抜粋し編集した単行本が、今年出版されている。
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