頭脳警察『無冠の帝王』
2009年に結成40年を迎えた頭脳警察が、翌2010年に大ヴォリュームのボックスセットをリリースした。なんとCD7枚にDVD2枚という物量だが、個人的にはとても嬉しい内容になっている。
CDは、ディスク1が収録日時としては最も新しく、2010年8月のスタジオライブだ。注目はラストで、『Rip Off~Girl』。t.レックスのセカンドアルバムにして代表作『Electric Warrior/電気の武者』に収録されている2曲のカヴァーだ。pantaと石塚俊明のコンビスタイルは、マーク・ボランとミッキー・フィン/スティーブ・トゥックのコンビを元ネタにしているであろうことは想像がついていたが、PANTA側がその出自を明確に記録したとも言える。
ディスク2が、なんと1975年の渋谷屋根裏での解散ライヴ。この音源が残っていて、正式に日の目を見るというのが素晴らしい。ディスク3は1990年つまり再結成期、ディスク7は2009年で、会場はどちらも新宿ロフトによる音源だ。
上記で「嬉しい」と書いたのは、ディスク4から6までは、ワタシが実際に足を運んだ公演の音源だからだ。ディスク4は2002年の「命どぅ宝 平和世コンサート」、ディスク5は同じく2002年の四人囃子と対バンだった「Rock Legends」、ディスク6は2008年日比谷野音での「Japan Rock Band Fes.」だ。音を聴くと、あの日あのときの記憶が脳裏によみがえってくる。
演奏の生々しさはもとより、MCも可能な限り収録されているのがとても珍しく、そして嬉しい。その日そのとき、自分がそこにいたのだという記憶がよみがえってくる。ただその反面、不適切と思われる歌詞はノイズによって消去されてしまっている。でも、これってレーベルが過剰反応しすぎなんじゃないかなと思う。
DVDは、2001年9月に行われた、再々結成ツアーの最終SHIBUYA-AX公演を2枚に分けて収録。ベースJIGEN、ギター藤井一彦、ドラム後藤升弘というサポートも嬉々としながら演奏に興じ、もちろん中核のPANTAと石塚も気を吐いている。中盤は2人だけでのアコースティックとなっていて、こういう構成にしていることがとても珍しいと思った。
大変な物量だと思っていたが、観るのも聴くのも割とあっという間だった。
関連記事
-
頭脳警察トークイベント(1)
異様な暑さにバテ気味だったが、そんな中を渋谷まで行って来た。なんとあの頭脳警察が、初のトーク
-
頭脳警察『Live Document 1972-1975』
頭脳警察が2004年にリリースした、ライブボックスを聴いた。CD7枚組プラスDVDという、と
-
頭脳警察Episode Zero-悪たれ小僧の前奏曲
PANTAによる、自伝的私小説を読んだ。高校時代から、頭脳警察結成までをフォロー。バイクを盗
-
頭脳警察@Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
今年結成50年を迎えた頭脳警察だが、さる9月18日に新譜『乱破』をリリース。そのリリースパー