『パンタとレイニンの反戦放浪記』を読んだ
頭脳警察のパンタ(panta)、ジャーナリストの椎名レイニンの2人が、2003年2月にイラクに渡航したときの模様を綴った本を読んだ。
2003年2月というのは、まさにアメリカがイラクを攻めたあの戦争が起こる、約1ヶ月前というタイミングになる。イラクにてアメリカの武力行使に反対するシンポジウムが開催され、イラク側が各国に呼び掛けて招待していた。日本にもその声がかかり、NPO法人が窓口となって参加者を任意に募った。パンタとレイニンはそこで顔を合わせ、現地でも行動を共にした。
2人は共に団塊の世代だが、現地での光景やイラクの人々の行動に戸惑うレイニンに対し、パンタは一見ドライだ。病院を訪問した際、傷を負った子の母親が寄り添い、この状況を伝えろと言う。これは、実は視察に来ることを見計らってのデモンストレーションで、つまりイラク人も結構ドライなのだというのが、PANTAの指摘だ。
2001年に期間限定で頭脳警察を再々結成させたPANTAだが、翌2002年からはソロ活動と頭脳警察とを並行させるようになり、現在に至っている。2003年のイラク情勢も、PANTAの創作活動に大きな影響を与えていると思う。『7月のムスターファ』という曲を書いていて、これは2003年7月にアメリカ軍とたったひとりで戦い殺された14歳のサダム・フセインの孫、ムスターファを弔った曲だ。
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