ブルー・ダイヤモンド(ネタバレあり)
宝石商のルーカスは、希少価値の高いブルー・ダイヤモンドの取引のためロシアのサンクトペテルブルクに来たが、ビジネスパートナーのピョードルと連絡がつかない。この男を追ってシベリアに行くが、やはり行方がつかめない。
ルーカスは妻帯者だが、シベリアでレストランを営むカティアと関係を持ってしまう。結局、ダイヤの手がかりをつかめないままサンクトペテルブルクに戻ったルーカスは、ホテルの部屋のキャンドルの中にダイヤが隠されていたことに気づく。ルーカスはカティアに連絡し、自分が宿泊していた部屋のキャンドルを持ってきてもらう。
タイトルと予告編から、高価な宝石ブルー・ダイヤモンドをめぐるサスペンスなのだろうと思っていた。のだが、序盤から中盤までは、シベリアでのカティアのレストランに出入りする人々との交流やカティアとの情事ばかり。キャンドルの中にブルー・ダイヤモンドがあるとわかってから急展開となり、取引先のロシアンマフィアとの緊迫感のある駆け引きを経て、最後はなぜか銃撃戦になってしまう。
見終わった直後は、もやもやしてどうにもすっきりしない気持ちばかりが残った。その後、ブルー・ダイヤモンドには何か別の意味が込められているのではないか、ストーリーは何かを模しているのではないかと考え、いろいろ調べた。ワタシが出した結論は、
フィルム・ノワールを狙ったのでは?
だ。
フィルム・ノワールは映画のジャンルのひとつで、直訳するとフランス語で「暗い映画」なのだとか。そして、このジャンルにはいくつかの定番があることがわかった。退廃的、美的、残酷、男が堕落する、男にとっての運命の女「ファム・ファタール」が登場する、など。
結構合致しているように思う。ルーカスは一見愛妻家風だが、実は夫婦仲は冷めていたのではと思わせるところがあって、カティアとの不倫に走ってしまう。カティアは謎の女でも危険な女でもないが、ルーカスには心理的な駆け引きも仕掛けてくる。
ルーカスはひとりでマフィアとの取引の場に臨むのだが、そこにカティアも来てしまう。2人はマフィアのボスになんとも言えぬ条件を突きつけられ、それをのまざるを得なかった。2人がマフィアのアジトを後にしてホテルに戻るシーンは、路上で言い争いつつも結局は抱き締め合って互いを慰めている。残酷だが、無音にしていることで美しさをにじませている。
ルーカスはキアヌ・リーブス。上述の通り、今回はあまりスタイリッシュではない。そして、ただの宝石商のはずがなぜか銃器の扱いには慣れていて、射撃の腕も正確。これはストーリー上はかなり不自然だが、『ジョン・ウィック』でのキアヌがダブってきて、許せてしまう(笑)。カティアはアナ・ウラルという人で、『インフェルノ』に殺し屋役で出ていたとか。覚えていない(汗)。
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