ロック・クロニクル・ジャパン Vol.1 1968ー1980
個人的に、洋楽ロック史はざっくりではあるが認識しているつもりでいる。しかしながら日本のロックとなると、ちょっとはっきりしない。そんなこともあり、『ロック・クロニクル・ジャパン』という本を以前入手したことがあって、掘り起こして読んでいる。年代から2冊に分けていて、Vol.1は1968年から1980年まで。1999年に出版されている。
冒頭に、矢沢永吉と細野晴臣のインタビュー。複数の音楽評論家による当時の日本の音楽事情の考察を経て、時代を彩ったアーティストの紹介に繋げていく。この書ではグループサウンズ末期を日本のロックの勃興と位置づけていて、ゴールデン・カップスとモップスを筆頭に挙げ、日本語で歌うはっぴいえんどとジャックス、英語で歌うフラワー・トラベリン・バンドを紹介している。
当時、英語で歌ってこそロック、いや日本人は日本語で、という論争があったそうだ。その論争を沈静化させたのがキャロルとされていて、日本語と英語をごちゃまぜにしながら演奏に違和感なく乗せていくスタイルを実現。矢沢はインタビューで、この方法論を提示したジョニー大倉を絶賛している。
紹介されているアーティストは、個人的に知っている人見たことのある人もいるが、知らない人の方が多いかな。ムーンライダース、四人囃子、遠藤賢司、岡林信康、めんたんぴん、紫、ブルース・クリエイション、早川義夫、井上陽水、ゴダイゴは、ライブを観たことがある。このコーナーは、サザンオールスターズやymoを経て、PーModel、プラスチックス、ヒカシューのニューウェイヴで締め括っている。
中盤にまたインタビューがあって、panta、鈴木慶一、Charなど。PANTAは頭脳警察時代のこと、解散のいきさつ、その後のソロ活動について語っている。洋楽カヴァーからスタートするも「血が違う」と感じ、ダサくてもいいから日本語で歌うことにしたと言っている。つまり日本語ロック派になるわけだが、英語派にも受け入れられる一方、はっぴいえんどの事務所とは因縁があったそうだ。
後半は、アルバムのセレクション。面白いなと思ったことが、2つある。沢田研二の作品をぽつぽつ取り上げていて、商業的に成功しスターになった人だが、その姿勢や音楽性はロックだったと認識しているのだろう。あと1つは、70年代から活動しているRCサクセション/忌野清志郎をたいして扱っていないことだ。RCが本格ブレイクするのは80年代になってから、だからだと思う存分けど。
それにしても、細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一のYMO3人の活動が尋常ではなくすごい。はっぴいえんどやサディスティック・ミカ提供バンドといった所属バンドの活動や自身のソロ活動だけでなく、他のアーティスト作品への参加が多く、あちこちに名前が出てくる。
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