四人囃子『From The Vaults』
1970年代に活動していた日本のロックバンド、四人囃子。90年代以降は不定期にライブを行っていたが、2001年に5枚組ボックス『From The Vaults』をリリース。当時全曲未発表という、驚愕のボックスだ。
ディスク1は、73年のライブ音源。すべて長尺で、全6曲というシンプルさだ。ディスク2は、74~75年のライブ音源。ディープ・パープルの武道館公演の、オープニングアクトとして演奏したときの音源もある。ディスク3は、74年~78年のスタジオセッション。つまり、森園勝敏時代と佐藤満時代とが交錯している。
ディスク4は、77年~89年のライブを中心とする音源。佐藤満時代から、解散を経て89年に再結成した時期になる。ディスク5は「Very Early YONIN-BAYASHI」と題され、72年~74年にバンドがカヴァーしていた洋楽アーティストの曲が収められている。
ブックレットも充実。公演のポスターや宣材写真、レコーディング風景、ステージなど、写真が豊富だ。日比谷野音の客席をアルミホイルで包んだ写真を見て、なんだろうと思ったら、78年リリースのアルバム『包(Bao)』にリンクさせたライブだったそうだ。
ほかにも、詳細なバンドヒストリー、全曲解説、公演日時と会場と共演アーティストを記載したライブヒストリーなど、どれも読み応えがある。同時代を生きた、あるいは影響を受けたアーティストたちが寄せているコメントもいい。遠藤賢司、panta、近田春夫、コレクターズの加藤ひさし、ROLLYなどで、愛情とリスペクトが込められている。
リリースにあたり、一般人からの音源(つまり隠し録り)をも募ったそうで、一部の曲では音がこもっていたり、ノイズが入っていたりすることもある。が、それ以上に、森園が客をあおるMCや、観客の乾いた拍手などもあって、後追いで聴いている身としては、当時の生々しさが記録されていることにも興奮する。
個人的に四人囃子を知ったのは、このボックスがリリースされた次の年、2002年だった。この年に、スモーキー・メディスソとの対バン2公演、フジロック3日目ホワイトステージ、頭脳警察との対バンと、4度ライブを観させてもらった。フジロックでは、アヴァロンフィールドで佐久間正英を見かけ、半ば押しかけ気味に握手してもらった。改めて聴くと、その2002年のことも脳裏によみがえってくる。
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