ピーター・ガブリエル(Peter Gabriel)『Growing Up Live』
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最終更新日:2019/08/16
Peter Gabriel/Genesis ピーター・ガブリエル
ピーター・ガブリエルは、2002年に10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Up』をリリース。それに伴うツアーから、2003年にイタリアのミラノでおこなわれたライブが映像化されている。
『Secret World Live』も驚異的だったが、今回は更にその上を行っている。まずオープニングが、暗いステージ上にピンスポットを受けたピーターひとりだけでのキーボード弾き語りによる『Here Comes The Flood』で、ここでまず意表を突かれる。そしてステージが明るくなるのだが、アリーナのど真ん中に円形のステージがお目見えし、バンドメンバーが全員スタンバイ。演奏は、全てこのステージでおこなわれる。
重苦しい『Darkness』から『Red Rain』『Secret World』とつなぎ、序盤からクオリティが高い。バンドは、トニー・レヴィンやデヴィッド・ローズはお馴染みだが、ドラマーは交代している模様。キーボードは女性、そしてコーラスの女性はピーターの次女メラニーとのこと。ピーターは前作からの10年を経て、見た目はすっかりおじいさんになってしまったが、パフォーマンスのキレは少しも衰えていない。
『Solsbury Hill』では自転車に乗って円形ステージを走り、『Growing Up』ではフレーミング・リップスばりに透明の球体の中に入って歌う。ほかにも、いつもは自分が撮られている身だからか、ビデオカメラをフロアに向けてオーディエンスを映しながら歌うなどしている。ピーターといえばヘッドフォンマイクがお馴染みだが、今回はハンドマイクも使っていて、つまり2つのマイクで歌っている。
そして度肝を抜かれたのが、『Downside-Up』だ。曲の序盤では、円形ステージの中央から白地の円形ひな壇が隆起するのだが、それがいつのまにかステージ天井にまでせり上がっている。そして、ピーターと娘のメラニーが逆さ吊りになり、この逆ひな壇を歩きながら歌っているのだ。前代未聞とは、まさにこのこと。しかしほんとうは、頭に血がのぼって歌どころではないんじゃないか。
『Sky Blue』ではブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマが、『Signal To Noise』ではヌスラット・ファテ・アリー・ファーンが、それぞれゲスト出演している。こうしたコラボレーションが未だに続いていることも、この人の軸がぶれていないことの証だ。
ピーター・ガブリエルの単独来日公演が実現したのはたった1度で、94年のシークレット・ワールド・ツアーのときだ。その後25年日本の地を踏んでおらず、その要因のひとつが、日本と海外とでの、この人の浸透度の大きな差ではないかと思わされる。これだけのステージセットを持ち込むとなると最低でもアリーナになるし、金銭と動員が釣り合わないのではと、想像してしまうのだ。
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