The DIG Special Edition ジェネシス(Genesis)
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最終更新日:2019/07/13
Peter Gabriel/Genesis ジェネシス, ピーター・ガブリエル
2014年にイギリスBBC放送でジェネシスのドキュメンタリー番組が制作・放送され、黄金期のメンバーが久々に顔を揃えた。それにリンクさせたと思われる特集本が、同年に出版されている。
構成はかなりマニアックで、熱心なファン向けだ。『Foxtrot』『The Lamb Lies Down On Broadway』しか聴いていなかったワタシにとっては、最初はかなり敷居が高かったが、読み進めてみるとかなり面白かった。
まず、定番と言ってもいいインデックス的に整理されたディスコグラフィーコーナーがない。その代わり、冒頭のカラーページにて、ジャケットアートに着目しながら全アルバムを紹介している。初期のアルバムジャケットを手がけた美術家のインタビューもとっていて、曲単位のダウンロード試聴が主流になっている昨今では、嬉しいこだわり方だ。キーボードの機材の変遷やドラマーの変遷への着目も、かなり珍しいと思う。
ジェネシスは、ピーター・ガブリエル時代とフィル・コリンズ時代の、大きく2つの期に分けられる。ピーター・ガブリエル脱退の真相についての考察があって、自身がアイディアを出して実行した奇抜なステージパフォーマンスばかりが取り上げられ、音楽そのものへの注目が薄くなっていること、『The Lamb Lies Down On Broadway』のレコーディングが難産だったことなどが理由とされている。このアルバムでは全曲をピーターが作詞し、それが内ジャケにもクレジットされている。
ピーター脱退後、バンドは窮地に追い込まれたはずだが、ドラマーのフィル・コリンズがリードヴォーカルを担うことで乗り切った。そしてギターのスティーブ・ハケットも脱退しメンバーが3人になると、音楽性はプログレからポップな方向に変わっていく。
歴代メンバーのソロ活動のコーナーもあるのだが、最もページを割いているのはピーター・ガブリエルでもフィル・コリンズでもなく、アンソニー・フィリップスだ。ジェネシスが成功する前に身体と精神を病んで脱退してしまった初代ギタリストだが、バンド結成の中心人物で音楽の方向性を示した、重要な存在だったとされている。
ほかのメンバーの活動もそれぞれ興味深いが、フィル・コリンズ脱退後にヴォーカリストとして加入したが、歴代メンバーの中では最も影が薄く、しかしソロでもジェネシスナンバーを歌い続けるレイ・ウィルソンまでもフォローしている。
個人的に興味を持つのはピーター・ガブリエル在籍時代だが、上述の通りオリジナルアルバムは2枚しか聴いていない。というわけで、今更ながら初期のほかのアルバムを聴き込んでいる。
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