ジョージ・オーウェル『動物農場』(とピンク・フロイド『Animals』)
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最終更新日:2024/10/14
Pink Floyd シド・ヴィシャス, ピンク・フロイド
イギリス。とある農場において、農場主である人間の扱いに耐えかねた動物たちは決起し、人間を追い出すことに成功する。豚のナポレオンがリーダーとなり、7つの訓示を作る。犬や馬、ロバ、鳥、羊たちは、同志の名のもとに農園の開拓や維持に勤しむ。しばらくの間は、共同社会による平和な暮らしとなった。
ナポレオンは、対立していた豚のスノーボールを追放。ほかの豚はナポレオンの指示を伝え浸透させる役を担い、犬は豚の忠実な部下になり、羊は豚に都合のいいガヤを発する役を担うようになる。支配力を強める豚の言動や行動には徐々に矛盾が生じるが、他の動物たちは満足に文字が読めず、ナポレオンの側近スクィーラーに言いくるめられてしまう。
結局、支配者が変わっただけで、農場における動物たちの生活は以前と同じか、あるいは更にひどくなってしまったところで、物語は終了。ハッピーエンドとは真逆の、放り出しっぱなしの幕切れには、呆然を通り越して痛快ですらある。
『動物農場』はジョージ・オーウェルが執筆し、1945年に刊行された小説だ。20世紀前半に起こっていた全体主義とそれに対する批判がテーマで、ウィキペディアによると、ナポレオンのモデルはスターリン、スノーボールのモデルはスターリンと対立していたトロツキーとのこと。
ピンク・フロイドのアルバム『Animals』は、この小説に着想を得て作られた社会批判をテーマとする作品とされている。しかし、歌われるのは豚、犬、羊の3種にとどまっている。犬と羊の位置づけも異なり、豚に関しては支配者としての表現のほか、翼を持ち空を飛ぶという曲が、冒頭とラストに配されている。歌詞対訳を読んでみたが、よくわからなかった。
『動物農場』をそのまま再現しようとしたのではなく、元ねたとして拝借しただけなのではとも思う。空飛ぶ豚は、シド・ヴィシャスやロジャー・ウォーターズを指すという解釈もあるようだ。
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