スノー・ロワイヤル(ネタバレあり)
アメリカ北部コロラド州のキーホーという雪深い街。長年除雪作業をおこなっていたコックスマンは名誉市民として表彰されるが、空港で働く息子がギャングのコカイン取引に巻き込まれ殺されてしまう。戦闘の訓練を受けたわけでもないコックスマンだが、大柄な体と狩猟で培った能力にて、取引に居合わせたギャングを殺害。やがて、ボスが「バイキング」と呼ばれている男だと知る。
部下を次々に殺されて苛立つバイキングは、その相手が先住民のギャングによる縄張り侵害と勘違いし、ボスの息子を殺害して標識に吊るす。この先住民ギャングはバイキングの父の代から因縁があり、息子の死には息子だと言い、バイキングを狙う。警察は、ギャングの死や抗争が始まりつつある情報を掴むが、動きが鈍く後手にまわっている。
息子を殺された男の復讐劇・・・のはずが、バイキングの勘違いから話はどんどんややこしくなっていく。そして、劇中の空気はいたってシリアスなのだが、それがいつのまにかコミカルに映るようになり、観る側の笑いを誘う。コックスマンはギャングの部下を殺す度に金網に巻いて担ぎ、川から滝壺に投げ捨てる。ひとりめはまだいいが、3人目にもなると笑えてしまった。中盤以降、両ギャングの誰かが15分おきくらいに死ぬ展開になり、その都度名前と生没年とあだ名、そして十字架マークが表示されるようになる。これも笑いを誘った。
キャストは、コックスマンをリーアム・ニーソン。いつも戦っているイメージの人だが、今回もやっぱり戦っている。但し今回は一般人なので、腕力があり重機を使いこなすことはできても、バイキングをおびき寄せるための息子の誘拐はなんだかおぼつかない。コックスマン夫人はローラ・ダーンだが、息子の死以降精神バランスを崩し、やがて家を出て行ってしまって、それきり登場しない。
儲け役だと思うのが、バイキングだ。ラスボスながら結構早い段階で登場し、ひとり息子を溺愛する一方、奥さんとは離婚訴訟中。冷静で頭が切れるようでいて実は気が短く、敵でも部下でも殺すときは躊躇しない。食事にも極端なこだわりを持ち、と、結構複雑な人物設定になっている。演じるはトム・ベイトマンという人で、「オリエント急行殺人事件」の序盤にちょこっと出て、エルキュール・ポワロに配慮する鉄道会社の重役を演じていた。プライベートでは、「スター・ウォーズ」でレイを演じるデイジー・リドリーの恋人なんだとか。
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