*

ピンク・フロイド(Pink Floyd)『P.U.L.S.E./驚異』

ピンク・フロイド(Pink Floyd)『P.U.L.S.E./驚異』

のライヴDVDを観た。1994年作『』に伴うツアーを収録した2枚組であり、先にVHSビデオもリリースされているのだが、DVD化に当たり多数のボーナス映像が付加されている。

まずはライヴ本編。このときのライヴは途中休憩を挟む2部構成になっていて、ディスク1に一部、ディスク2に二部が収められている。一部はまず『Shine On You Crazy Diamond』で始まり、『対』『鬱』といったこの時点での近年の作品からの曲が演奏されている。ステージには巨大なアーチが聳え、その上部には円形のスクリーンがあって、曲にシンクロした摩訶不思議な映像が流される。

そして二部は、名作『狂気』の完全再現。ツアーで完全再現するのは、それこそ『狂気』がリリースされた1974年以来とのこと。おカネがジャラジャラ鳴るSEの『Speak To Me』から始まり、シングルヒット『Money』などを経て『狂気日食』へと至るくだりが、CDではなくライヴの生々しさで再構築されているというのは、観ていて圧巻だ。アンコールは『Wish You Were Here』から『The Wall』の終盤2曲という、デイヴ・ギルモアが率いるようになってからのフロイドの必勝リレーで締めくくっている。

ボーナス映像もかなり豪華。ライヴの円形スクリーンに流されていた映像だけを流すコンテンツがあって、これは非常に興味深かった(のDVDでもこれをやってほしい)。他にはスタッフがハンドカメラで撮影した映像、ツアーでは演奏されていたがこのDVDの公演から漏れている曲のフォロー、TVスポット映像、ツアードキュメンタリーなど、とにかく満載。2006年のロックの殿堂入りの模様もあり、そこではビリー・コーガンがプレゼンターを務め、『Wish You Were Here』の演奏にビリーも加わるというシーンを拝むことができる。ライヴ本編で2時間オーバーなのだが、実はボーナス映像を全部観てもこれまた2時間以上かかってしまう(笑)。

ライヴの軸になるのは、もちろんギター&ヴォーカルのデイヴ・ギルモア。ニック・メイスンやリック・ライトといったフロイドメンバーのほか、サックス奏者やベーシスト、女性コーラスなどがいて、バンドはかなりの大所帯である。ワタシはVHS版も持っていたのだが、DVDになって画質が格段に向上したことを実感している。また、ブックレットにはピンク・フロイドの歴代担当ディレクターのコメントが寄せられていて、当時の業界事情や皆さんが苦心して名づけた邦題にまつわるエピソードなどが伺える。

というわけで、ファンなら必見のDVDである。94年のライヴであるにもかかわらず、今観ても全く古臭くなっていないことには恐れ入る。ロジャー・ウォーターズが抜けてからのピンク・フロイドを是とするか非とするかという議論があるが、個人的にはギルモアのフロイドが、それ以前の作品に及びはしないものの、と言って幻滅させることもない、ぎりぎりのクォリティを保っていると感じている。

関連記事

ピンク・フロイド(Pink Floyd)『Shine On』

ピンク・フロイドは、デビュー25執念記念で1992年に『Shine On』というボックスセッ

記事を読む

ピンク・フロイド(Pink Floyd)『対 コレクターズボックス』

ピンク・フロイドのアーカイブシリーズ、第4弾はまさかの『The Division Bell』

記事を読む

ピンク・フロイド(Pink Floyd)『London 1966-1967』

ピンク・フロイド初期の映像『ロンドン 1966-1967』を観た。 狭いライヴハウスで

記事を読む

ピンク・フロイド(Pink Floyd)(1)

一般に、プログレバンドといえば、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエス、EL&P、ジェ

記事を読む

ピンク・フロイド(Pink Floyd)『Live At Pompei』

1972年9月に劇場公開され、日本では「ヤング・ミュージック・ショウ」で放送された、ピンク・

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑