メリー・ポピンズ リターンズ(2018年)
前作から25年後のロンドン。ジェーンとマイケルのバンクス姉弟は大人になり、マイケルは家庭を持ち3人の子供に恵まれていた。しかし妻が他界し、大恐慌で景気は後退。融資の期限切れで自宅を手放すピンチに。そんなとき、メリー・ポピンズが再びバンクス家にやってきた。
ジェーンとマイケルはメリー・ポピンズに再会できたことに喜ぶ一方、どうやって借金を返済するかで頭を悩ませていた。父が残した銀行の株券があれば返済に充てられるはずと考え、家中を探す。一方メリー・ポピンズは子供たちの世話をすると宣言し、バスタブから海のような世界に子供たちを連れていく。更には子供たちが割った坪の中に入り、ミュージカルの世界へと誘う。
1964年公開の「メリー・ポピンズ」の続編で、キャストは一新されたが、世界観は継承されている。前作からのストーリーのつながりあり、オマージュもありで、単体の作品としても楽しめるとは思うが、前作を観ていれば更に楽しめる。
ミュージカルをはじめとするファンタジーのシーンは、最新の映像技術を駆使した特殊効果が効いていて、夢の世界を更に圧倒的なものにしている。一方で、大砲を使って時報をおこなう隣人は前作からまんま継承だし、電灯の取り付けをするジャックは前作のバートの仲間ということになっていて、メリー・ポピンズと共に3人の子供をサポートする。
キャストは、メリー・ポピンズをエミリー・ブラント。世間的に、この人のイメージはどうだろうか。「プラダを着た悪魔」での損な役回りか、それとも「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の女戦士か。個人的にはもっと目立っていい女優と思っていて、本作はその後押しになるのではないだろうか。美人でクールで時に厳しく、でも子供たちやジャックとジェーンをしっかりサポートしているさまは、前作からぶれていない。前作でメリー・ポピンズを演じたジュリー・アンドリュースは、カメオ出演をオファーされたそうだが、エミリー・ブラントの作品にすべきと言い、断ったそうだ。
成人したマイケルは、ベン・ウィショー。007の「スカイフォール」「スペクター」ではオタクっぽいエージェントを演じているが、ここではふつうのマイホームパパで、子供の頃はいろいろ夢を見ていたはずが、大人になって現実と向き合うようになってからは夢見る心を失ってしまっている。それが、終盤でメリー・ポピンズや子供たちによって思い出すという具合だ。
マイケルの姉ジェーンは、エミリー・モーティマーという人。銀行の頭取でバンクス家から家を取り立てようとするウィルキンズは、コリン・ファース。メリー・ポピンズのいとこの役で、メリル・ストリープもちょこっと登場する。
それにしても、前作も本作も、みなメリー・ポピンズとフルネームで彼女を呼んでいる。
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ロンドンに住む、厳格な銀行家のジョージ・バンクス。妻は女性参政権運動に熱心で、子供のジェーン