ピンク・フロイド(Pink Floyd)『ザ・ウォール コレクターズボックス』
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ピンク・フロイドのアーカイブシリーズ、第3弾は『The Wall』だ。オリジナルが2枚組ということもあるものの、今回のパッケージは7枚組のヴォリュームになっている。
ディスク1と2は、オリジナルアルバムのリマスター盤。ディスク3と4は、2000年に単体リリースされたアールズコートのライブアルバム『Is There Anybody Out There』のリマスター盤。ディスク5と6はデモテイク集だが、ディスク5については、41曲収録ながら半分以上は1分以下という、言わば「断片」のかき集めだ。ディスク6の方は別ヴォーカルのフルコーラスなどで、まだちゃんと聴ける。
ディスク7は、DVDによる映像集。見覚えのある『Another Brick In The Wall (part 2)』のPVやアールズコートのライブの断片は、まずまず。ドキュメンタリー『Behind The Wall』は、日本語字幕つきだ。『狂気』のときはメンバー全員でアイディアを出し合って制作していたが、このときは完全にロジャー・ウォーターズ主導になっていたこと、リック・ライトがロジャーに解雇を言い渡されているが、両者の言い分は食い違っていることなど、が、当人たちの口から明かされる。アルバム制作だけでなく、ツアーについても触れられていた。画家でアニメ映像(ツアーで壁に映していたやつかな)を手がけた、ジェラルド・スカーフのインタビューもあって、フロイドのオファーとアイディアが、気に入っていた様子だった。
ディスク以外では、『狂気』『炎』のコレクターズボックスと同様に、豪華ブックレット、チケットやバックステージパスのレプリカなどが同梱。特製マフラーや特製コースターは、やはり使用できない。今回も特製ビー玉は入っていて、アルバムジャケットのウォール柄になっていた。
80年代以降は、ロジャーのソロによる表現と、デイヴ・ギルモアが率いるフロイド~ギルモアソロによる表現の、2種類のフロイドが並行稼働している。しかし両者とも、『The Wall』をクライマックスに配することが少なくない。ロジャーはアルバム全曲演奏を何度かおこない、ギルモアは『Comfortably Numb』から『Run Like Hell』へとつないでカタルシスを生み出している。本作は、フロイドにとっての、ひとつの到達点だったのではと思わせる。
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