女王陛下のお気に入り(2018年)
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最終更新日:2024/10/09
ヨルゴス・ランティモス エマ・ストーン, ロンドン
18世紀の英国はフランスと戦争状態だったが、アン女王は体調が優れないこともあり、側近のサラに頼りきっていた。あるとき、サラの遠縁で没落貴族の娘アビゲイルが宮廷に仕え、女中となる。女王が痛風に苦しんでいることを知ったアビゲイルは、薬草を摘んで女王の足に塗り、女王は痛みが消えたことを実感。サラは、アビゲイルを女官に昇格させる。
サラは政治面でも女王の代行をするようになり、臣下たちは面白くない。女王も、自分では政治を仕切れないことを自覚しつつ、サラを頼らざるをえない状況に嫌気がさしてくる。サラは自分が多忙なときにはアビゲイルに女王の身の回りの世話を任せ、アビゲイルは女王の心の痛みに共感しうまく機嫌をとり、女王の寵愛を受けるようになる。
主なキャストは、アン女王をオリビア・コールマン、サラをレイチェル・ワイズ(『ボーン・レガシー』など)、アビゲイルをエマ・ストーン、サラの夫をマーク・ゲイティス、アビゲイルを利用してサラ失脚を目論む政治家をニコラス・ホルト。欧米では昨年公開され、日本では今年2月に公開。賞レースの常連となり、アメリカのアカデミー賞ではオリビア・コールマンが主演女優賞を獲得。レイチェル・ワイズとエマ・ストーンも、共に助演女優賞にノミネートされた。 監督は、ヨルゴス・ランティモスだ。
衣装や宮廷の豪華さといったビジュアルには目を見張るものがあるが、それ以上に3人の女性の思惑の交錯が醍醐味になっている。サラは当初アビゲイルを全く相手にしていなかったが、それがまさか立場が逆転し自分が宮廷を追われるなど、思ってもいなかったはずだ。アビゲイルは強かで、宮廷入りしたときこそおとなしくしていたが、やがて感情を表に出すようになる。女ってコワいなと思わされる反面、この作品での男たちはなんとも頼りない。
レイチェル・ワイズとエマ・ストーンの激しさに注目がいきがちだが、彼女たちに寄りかかっているようでいて、懐の深さを見せるオリビア・コールマンがやはりすごい。子供を17人生んだが全員亡くしたことをぼそっと呟く場面や、ラストで自身が立ったままアビゲイルに足をさすらせる場面などに、弱さのようでいて強さを感じさせる。仮にアビゲイルがその後女王を苦しめ追い詰めることはできても、決して女王を越えることはできないのではと思わされる。
この作品は、ロンドンに行く飛行機の中で観た。そして、ウエストミンスター寺院を訪れた際、アン女王が埋葬されているところも確認した。
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