Jマスキス(J Mascis)@WWW X
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最終更新日:2019/04/19
Dinosaur Jr. Jマスキス, ダイナソーJr.
開場予定の30分ほど前に会場前に着いたのだが、なんとJ本人がいて写真撮影に応じていた。一時期は巨漢のイメージがあったが、今回間近で観ると割かし中肉中背だった。そして時間になり、入場。整理番号が早かったこともあって、難なく最前列をゲット。ステージセットからするに、バンドはなくJひとりでの演奏になるようだ。ギターもエレアコが2本あるのみで、最近のソロ2作品からが中心になるのかな。
ほぼ定刻に客電が落ち、すぐさまJ登場。エレアコは2本ともギブソンCF-100Eで、そのうちより使い込まれている方を手にしてプラグをつなぎ、立って弾きながら歌い始める。序盤2曲程度はアコースティックらしいおとなしめのアレンジだ。Jの着ている服は開場前に見かけたときと同じ。キャップをかぶり、ピンクの縁のメガネをかけていた。水やお茶のペットボトルを4本用意し、曲間もしくは演奏中でも何度か口にしていた。結構ヒゲが伸びているが、長髪のせいでそれほど目立たない。
やがてJはエフェクターを駆使し始め、ディストーションをガンガン利かせ始める。はは、やはりJのライブはこうでなくては。エフェクターは8つくらいあって、うちひとつはヴォーカルにエコーをかける用だった。ギターを弾きながらその場で録音し、それをバックにして別の音を重ねるひとり多重演奏も繰り広げ、観ていて飽きない。ギタリストの演奏というと、指さばきに注目しがちだが、このライブに限って言えばエフェクターを踏み込むのとそれによって直後に発せられる音の歪みを楽しめるのが圧巻だ。そしてこれは、最前列だからこそ味わえる特権だ。整理番号に感謝だ。
セットリストはソロに編重かと思いきや逆で、7割がダイナソーjr.の曲だったと思う。『Little Fury Things』も、『The Wagon』も、『Out There』も聴けた。がしかし、個人的にはザ・フォグと組んでいた時期のソロナンバー『Ammaring』が沁みた。スローバラードに泣きのギターが轟く曲調は、ダイナソー以外でJが手掛けた曲では最高傑作ではないかと思っていて、それがエレアコ1本で歌い上げるスタイルによって新たな生命を吹き込まれたかのように思えた。この1曲だけで元は取った(笑)。
中盤でエレアコをチェンジ。もう1本のギブソンCF-100Eは幾分か新しめで、音の方も若干金属音に寄ったより弾けた質感のように感じた。こちらでは歌は控え目で、インストを主体としたプレイを延々繰り広げるスタイルになっていた。こういうJは観たことがなかったので、とても新鮮だった。
本編ラストはダイナソーの『Alone』。原曲自体大作だが、エレアコになっても大作感は薄れることなく、延々と繰り広げられるプレイに酔いしれた。解散前のラストアルバム『Hand It Over』収録のこの曲は、Jがダイナソーを「終わらせた」位置づけになるのではと思っていて、聴いていて少し切なさを感じてしまう。一方で、Jがこの曲を封印せずに発し続けてくれることに喜びも感じている。演奏のラストでJはエレアコを置き、ループさせた残響音を手動でエフェクターを切って終わらせた。
アンコールは、キュアーのカバー、というより、今やダイナソーのオリジナルになった感のある『Just Like Heaven』など2曲。アンコールと言いつつ、ほとんどインターバルはなかった(笑)。Jはライブ中何度もサンクスと言ってくれたが、最後にまたサンクスと言い、ステージを後にした。
過去、個人的にソロアコースティックのライブではポール・ウェラーやジャクソン・ブラウンを観たことがあるが、この人たちはそもそもアコースティックのイメージがある人たちだ。そして今夜のJのライブだが、ジャズマスターをギンギンに弾きまくる通常のJやダイナソーのライブと比べても決して見劣りしないハードコアぶりだった。やはりJはJだったし、そしてこれこそがワタシたちが観たい体感したいライブだったのだ。
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