ザ・プロディジー(The Prodigy)『Their Law & The Singles 1990 – 2005』
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The Prodigy プロディジー
プロディジーのベスト盤は、非常に中身が濃く充実した作品だ。日本盤の初回版のみ3枚組になっていて、1枚目がシングルを中心としたヒット曲集、2枚目が2曲の新曲にレア曲やライヴテイクなどを加えたもの、そして3枚目がDVDだ。ライナーノーツを読むと、DVDがCDと同じパッケージとして認められたのは、日本盤だけだという。
このDVDは、3つのメニューから成り立っている。まずはライヴ。プロディジーといえば何といってもライヴで、この時点でライヴアルバムもライヴビデオもリリースされて来なかったことから、これは非常に興味深い。増してや、収録されているのは97年の『The Fat Of The Land』リリース後のロンドンはブリクストン・アカデミー公演なので、向かうところ敵なしの勢いを誇っていた当時の空気が刻印されている。
ブリクストンは恐らく数千人クラスのスタンディング会場で、当時のプロディジーにとっては余りにも狭いハコではなかったか。その狭い会場においてすら、マキシムはステージを降りてフロア最前のオーデイエンスの目の前にまで進出している。カメラワークは目まぐるしく、リアム、キース、マキシムの表情を捉える。そして、当時はまだダンサーのリロイもメンバーだったので、長身にして軽快なダンスも堪能できる。選曲もベストだ。
他のメニューは、PV集とエクストラ。PVは計15曲で、恐らくはここまでに制作されたものが全て網羅されている。ライヴの場では、『The Fat Of The Land』以前の曲と以降の曲とで温度差を感じることはないが、PVではくっきりと分かれている。「以前の」PVは、やたらチープで泥臭い。マキシムがスキンヘッドだったり、キースが長髪だったりと、現在と見た目が異なっているのにも時の流れを感じる。対して「以降の」PVは洗練されていて映像として美しく、そして時代を超えた普遍性を感じさせる。エクストラは、フェス出演時のライヴ映像が3曲分と、PVのメイキングが3曲分だ。
DVDは、後に単品リリースされた。未見の方は、入手して決して損はしないと思う。
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