サスペリア(1977年)
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サスペリア
先日、オリジナル未見で劇場に「サスペリア」を観に行ったが、その後、1977年公開のオリジナル版がGYAOで無料で観られると知り、観てみた。リメイク版を思い浮かべつつ、脳内で比較しながら鑑賞することに。
主人公がスージーなのは同じだが、ニューヨークからドイツのフライブルグの舞踊団に入団していて、スージーの出身も舞踊団のある、つまり物語の舞台となる地も変わっている。スージーは到着した日は舞踊団の建物に入ることができず出直すのだが、この夜のうちにダンサーのパットとその友人が惨殺されてしまう。
翌日スージーは舞踊団への入学を果たすが、ダンスのレッスンシーンは少ない。その後は、体調不良を訴えたスージーは葡萄酒を飲まされて眠くさせられたり、天井から白いウジ虫が降ってきたり、妙な呻き声が聞こえてきたり、となっている。リメイク版にも出てくる、スージーと仲の良いサラも無残な死を遂げてしまい、そしてスージーは建物の中で隠し扉を見つけ、舞踊団を監督する教師たちの会話を聞き、真相を知る。
なんだろう、ただただ連続殺人が繰り広げられていて、なぜ彼女たちは殺されなければならなかったのか、殺す側はなぜそうしたのかという、その説得力を感じることができなかった。劇中のストーリーよりも、観る側を怖がらせることに終始しているように見え、個人的にはすっきりしなかった。リメイク版の方が、舞踊団を舞台にしダンスを介してさまざまな人間や魔女のドラマを感じることができた。そして、オリジナルとリメイク版の決定的な違いは、3役で怪演したティルダ・スウィントンの存在ではなかっただろうか。
目を引いたのは、舞踊団の建物の内装だ。深紅を基調とした色彩とモダンなデザインで、キューブリックの「シャイニング」に使われても違和感のない斬新さだった。リメイク版は、この深紅を建物としてではなく、ダンサーたちの衣装や狂乱のクライマックスに取り入れたのだと思う。
GYAO!では、2月19日までオリジナル版サスペリアを無料で観られます。
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