ノルウェイの森(2010年)
1960年代後半。親友キズキを自殺で失ったワナタベは、東京の大学に進学。ある日、偶然キズキの恋人だった直子と会い、直子の二十歳の誕生日に一夜を共にする。しかし直子は精神を病んでいて、京都にある療養所に移る。
ワタナベは、恋愛はゲームと割り切っている永沢や、親の愛を知らない緑という女性たちと交流。直子とは手紙によるやりとりをしていて、彼女の状態がいいときに、ワタナベは会いに行っていた。
観終わった直後の感触は、正直言ってかなり微妙だった。ワタナベも、直子も、その周囲にいる人も、みなどこか心に傷を負っていて(エヴァかよ)、他に好きな人がいることを知りつつ付き合うという、屈折した関係になっている。
原作を知っている人がこの映画を観れば、また違った印象を持つのだろうが、この映画を観る時点で「ノルウェイの森」はおろか村上作品を全く読んでいない身としては、これが村上春樹の世界観なのか、それとも村上春樹の原作をベースにしただけのオリジナルなのか、と、いろいろ考えてしまった。かつて大ベストセラーになった作品の中身が、実は死と性なのか。それとも、もっと深読みできるのだろうか。
キャストは、ワタナベを松山ケンイチ、直子を菊池凛子、永沢を玉山鉄二、緑を水原希子、キズキを高良健吾。しかし、ワタシがこの映画に期待していたのは、ストーリーや主要キャストよりも、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが音楽を担当している点だった。それだけでは今ひとつ足りなかったが、更に後押ししてくれたのは、細野晴臣と高橋幸宏がちょい役ながら出演していると知ってだった。細野はワタナベのアルバイト先のレコード店店長役で、幸宏は直子の療養所の門番役で、それぞれ出演。出番はほんのわずか、細野に至っては全くセリフがなかったが、2人の出演は嬉しかった。
一方の音楽だが、優しいギターの音色だけのシンプルな曲や、オーケストラによる壮大なメロディなど、かなり多彩。がしかし、音量が大きすぎるのだろうか、時に映像に勝り過ぎているきらいがあり、不自然に感じてしまった。これはジョニーのせいではなく、編集の問題ではと思う。
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