『キング・クリムゾン・ディレクトリー』を読んだ
2018年11月の来日公演にリンクするように、キング・クリムゾンの書籍がいくつか出版された。ワタシが手にしたのは、『キング・クリムゾン・ディレクトリー』という書だ。以前出版されていた書についての、改訂・増補版のようだ。
序盤には、バンドのバイオグラフィーをいくつかのタームに分けて掲載。69年から74年までの活動はなんとなく知ってはいたが、90年以降の水面下の攻防や復活、メンバーチェンジ、沈黙、再度の復活については、知っていた箇所と読んではじめて知った箇所とがあった。
90年代前半、ロバート・フリップがデヴィッド・シルヴィアンをスカウトしようとするも結局拒否されたくだりは知っていて、この時期シルヴィアン・フリップとして活動。当初のドラマーはパット・マステロットではなくジェリー・マロッタで、そういやいたなあと思い出し懐かしくなった。ダブルトリオ編成が長く続かなかったのは、ビル・ブルフォードがまず拒否反応を起こして脱退、エイドリアン・ブリューも4人にしてくれとフリップにリクエストしたとのことだ。へえ。
そしてこの書の最大の持ち味は、壮大とも言えるディスコグラフィーだ。クリムゾン本隊の公式アルバムは最新作『Meltdown』までをフォロー。公式ブートレッグのコレクターズクラブも、丁寧に取り扱っている。そして、歴代メンバーのソロや他バンド、コラボレーション作品などが、怒涛のように押し寄せる。
個人的にフリップのソロ・コラボ作品は10枚近く持っているが、それではこの人の活動の半分にも満たないことを知った。ピート・シンフィールド、メル・コリンズなどの初期メンバーのソロ活動は、興味深く読ませてもらった。イエスやEL&Pといったビッグネームのアルバムは、さすがに全てではなく代表的な作品に絞っている。
タイトルは、ディレクトリー(ファイルを階層管理する概念)よりも、ディクショナリー(辞書)の方がふさわしいのではないだろうか。クリムゾンのファンはディープなマニアのイメージがあるが、ファンを満足させるにはここまでする必要があったのかもしれない。ワタシは、まだまだだ。
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