機動戦士ガンダムNT(ネタバレあり)
宇宙世紀0097年。ルオ商会のミシェルは、消息不明になっていたユニコーンガンダム3号機フェネクスを捕獲するため、地球連邦軍ナラティブガンダムのパイロットであるヨナを引き込む。ヨナとミシェルは、フェネクスのパイロットが幼馴染みのリタであると感じていた。3人は、宇宙世紀0079年にコロニー落としを察知した奇蹟の子供たちと言われていた。
オリジナルストーリーの劇場公開版ガンダムとしては、1991年の『F91』以来だそうだ。そして、個人的にガンダムを劇場で観るのもその『F91』以来になる。近年のガンダムはDVDリリースありきの先行上映スタイルが多く、それには乗らなかった(そのため、『UC』の面白さを知るのにかなり遅れを取ってしまったが)。本作は、劇中の時間軸としては、『UC』の1年後になる。
続編が満たすべき条件は2つあって、ひとつは前作からの継承、もうひとつは単体作品としての独自性にあると思っている。『UC』はそのどちらをも満たしていて、個人的にはファーストの次に好きなガンダムだ。そして本作も同様の作り方をしていて、劇場まで足を運んでよかったと思っている。
『UC』の直後ということで、ミネバ、ジンネマン、マーサ・ビスト・カーバインが登場。そして、公式ツイッターがもうバラしているので書いて差し支えないと思うが、バナージ・リンクスも出てくる。更には、あの作品のあの場面が引用されていて、というのがいくつも、しかも効果的に導入されている。テレビで冒頭23分が放送され、Youtubeでも観られると思うが、絶妙なトコロで止めている。
今回、主人公はヨナひとりではなく、ミシェルとリタのトリプルキャストだと思う。メインとなる新キャラを3人も出しちゃってどうかなとも思ったが、うまくまとめることに成功している(特にリタの描き方が新鮮)。3人の境遇は決して幸福とは言えないが、それは今回の敵となる男ゾルタンにも通じている。ゾルタンは暴走しやりたい放題だが、クライマックスでこの男が発する叫びは、実は正論だ。ミシェルの秘書ブリックも、ルオ商会に協力を強いられて出撃している部隊の中年モビルスーツパイロットのイアゴも、いい味を出している。
『UC』は、ユニコーン(ガンダム)とユニバーサルセンチュリーすなわち宇宙世紀とのダブルミーニング。今回の『NT』は、ナラティブ(ガンダム)とニュータイプとのダブルミーニングだ。ナラティブは「物語」の意味とのことで、ガンダムの世界観で生まれたニュータイプの概念を今一度再定義しようという意味らしい。本来なら、このことはもっと前に制作されているガンダムでやっておくべきことのはずだが、強化人間やイノベイターなどといった、ちょっと違う方向に行ってしまっていた。
エンドロールの後、『閃光のハサウェイ』の予告がちらっとだけ流れる。3部作と聞いていて、その第1弾は来冬、つまり1年後とか。
関連記事
-
機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) (1)
宇宙世紀0096年。ビスト財団のカーディアスは、地球連邦政府の存在をおびやかすとされる「ラ
-
機動戦士ガンダムNT TVエディション
2018年に劇場公開された『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』が、全4話のテレビエディショ
-
機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) (4)
「ガンダム」と名がつく以上、当然ながら以前の作品と無関係でいられるわけがない。今作は、「継承
-
機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) RE:0096
もともとOVA版として発表されたガンダムUCだが、再編集版としてこの4月からテレビ放送された
-
機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) (2)
『ファースト』から見続けてきた者として、『UCガンダム』にてミネバが表舞台に出てきたのは、
- PREV
- クイーン(Queen)展(2011年12月)
- NEXT
- ガンプラ ボックスアート展(2012年3月)