キング・クリムゾン(King Crimson)『Radical Action To Unseat The Hold Of Monkey Mind』
2015年12月に、実に12年ぶりとなる来日公演をおこなったキング・クリムゾン。その日本公演を軸とした2015年ツアーを集約したライヴアルバム+映像を観て、聴いた。
このときのクリムゾンは、当時歴代最大となる7人編成だった。
ロバート・フリップ(ギター)
メル・コリンズ(サックス)
トニー・レヴィン(ベース)
パット・マステロット(ドラム)
ギャヴィン・ハリソン(ドラム)
ビル・リーフリン(ドラム)
ジャッコ・ジャクスジク(ヴォーカル、ギター)
この編成以降のクリムゾンは、ライヴ演奏を主目的としスタジオレコーディングはまず行わないそうだ。ステージ上の演奏において新曲が生まれうる場合は、ライヴレコーディングの形で記録する。このアルバムタイトルにもなっている『Radical Action』は、まさにそれであると同時に、現在のクリムゾンの名刺的な位置づけになっている。
ワタシが持っている盤は、CD3枚組+DVD2枚組だ。まずはCDの方。1枚毎に、以下のようにテーマが定められていて、曲もそのテーマに沿って振り分けられている。
Disc 1, Mainly Metal
Disc 2, Easy Money Shots
Disc 3, Crimson Classics
1と3はまだイメージしやすいが、2の「Easy Money Shots」というくくりはピンと来なかった。どうやら、クリムゾンの中で比較的ブルージーな曲の集約らしい。個人的には1が圧巻。プログレバンドにカテゴライズされているクリムゾンだが、ワタシがクリムゾンに求めているのはこういう世界観だ。
2枚のDVDは、2015年12月の高松公演を中心にしたフルライヴだ(ぜんぶ高松じゃないのかな)。個人的にもオーチャードホールの公演に1度足を運んでいるので、ナマで受けた衝撃がよみがえってくる。そのときのワタシの座席は、ステージ向かって左、つまりパット・マステロットやメル・コリンズ側だった。映像は正面から7人全員を捉えたショットを中心とし、曲あるいはソロパートによって、各メンバーをクローズアップしている。
ロバート・フリップの指さばき、そしてジャッコ・ジャクスジクとの分担が明確に見てとれたのはありがたかった。ジャッコが『宮殿』のジャケットがプリントされたギターを使っていたのはわかっていたが、トニー・レヴィンがいくつか使いこなしていたベースのうち1本に『Three Of A Perfect Pair』のジャケットがプリントされていたのは気づかず、この映像ではじめて知った。もしかすると、ワタシが行った日には使わなかったのかも。
ステージには装飾らしい装飾はないが、ライティングによりブルーを基調としたイメージになっていた。それが『Starless』の後半インプロヴィゼーションに差しかかったときに赤いライティングに染まり、アルバムタイトルの『Red』にシンクロした演出だと思った。個人的には最も好きなクリムゾンの曲なので、これがセットリストの基本フォーマットとして組み込まれていることの喜びを、今一度噛み締めた。
質量共に全部乗せのようなてんこ盛りアイテムで、2015年の来日公演に足を運んだ人も、そうでないクリムゾンファンも、ぜひ手にしておくべき作品だと思う。
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