竹内まりや「souvenir the movie Mariya Takeuchi Theater Live」(ネタバレあり)
2週間限定公開の、竹内まりや「souvenir the movie Mariya Takeuchi Theater Live」を観た(一部劇場は公開延長している模様)。冒頭で本人も語っているが、山下達郎との結婚後は、作曲活動はしているもののライヴはほぼ行わず、実施したのは2000年、2010年、2014年の3回のみ。この映像はそれらのツアーを抜粋し編集して、ひとつのライヴに仕立てている。
軸になっているのは、2000年の公演だ。ライヴアルバムとしてリリースもされているが、映像を観るのははじめてだ。竹内は黒レザーのロングドレスで、喜々とした表情で歌い、ギターを弾く。このときは18年ぶりのライヴとのことで、彼女自身ステージに飢えていたのではないかと思うくらい張り切っていて、観ていて少しびっくりした。
ライヴ映像の合間に、彼女自身のコメントが挿入されている。初期の映像もちらっとだが流れ、荒い画質に時代を感じさせる。現在山下達郎と共同で使用しているレコーディングスタジオも自ら紹介し、達郎による冷静な竹内評も。この映像のためなのかLAでの撮影もしていて、初期の頃レコーディングしたスタジオを訪ねたり、レコードショップでアナログ盤を探したりする姿があった。初期の時点での海外レコーディングとは、レコード会社やスタッフが彼女の才能を認め期待していたことが伺える。
ライヴ映像には、2010年と2014年の公演の曲もいくつか組み込まれている。個人的にはこの2回は観に行っているのだが、どちらも武道館最上席の更に上の立見席だったこともあり(それでも、その場にいることができただけ光栄と思っている)、間近で彼女やバンドメンバーを捉えたショットは眩しく映った。カメラは必ずしも竹内にべったりではなく、達郎をはじめバンドメンバーをも満遍なく捉えている。一部のメンバーは2000年から交代しているが、多くは彼女にとって気心の知れた顔ぶれであり、彼らは同時に達郎のツアーメンバーでもあり、いずれも腕利きの精鋭たちだ。
どのライヴでもそうだが、彼女の声質がCDとほぼ変わっていないことに驚かされる。アドリブのノリももちろんあるが、CDで聴いたときの感触から大きくずれないことを意識しているのだろうか。また、達郎との距離感も絶妙だ。公私共にパートナーである2人だが、彼女は達郎のことをベスト・オブ・ベストフレンドと言っていた。共に巨大な才能を持ち、もちろん才能だけでなくひたむきな努力もしていると思うが、バランスのとれた理想的なパートナーシップではないかと思う。
パンフレットを購入し、映画を観た後でひと通り目を通した。3500円は通常の映画パンフよりもかなり高額だが、分厚い冊子と密度の濃い内容は、高額とは思わせない。映像の演奏順に沿った曲の歌詞や、提供曲をも含む全ディスコグラフィーを網羅した資料性は、最早映画パンフの域を超えてライヴのパンフレットと同等だ。彼女はこの映画を、通常のライヴと同じように観る側に届けたかったのだ。
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