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スパイダーマン(2002年)

スパイダーマン(サム・ライミ版:2002年)

原作は人気のアメリカンコミックであり、CGを駆使した映像美が評判を呼んだ。プラスして、2001年同時多発テロのために撮影がやり直しになり、と、話題のエンターテイメント作品だ。

主人公ピーター・パーカーは、遺伝子操作されたクモに噛まれてから不思議な能力を持つ。一時はその能力を自己顕示のために使おうとするが、育ての親が死ぬ間際に残した「大いなる力には、大いなる責任が伴う」ということばを噛み締める。以降は災害から人を救ったり、犯罪を防いだりする方にその力を使うヒーロー「」となる。

アメリカンコミックから同じように映画化されたヒーローには、スーパーマンやバットマン、スポーンなどがある。スーパーマンのクラーク・ケントが宇宙人、バットマンのブルース・ウェインが大富豪であるのに対し、ピーターは高校生の少年。それまでのヒーローたちは、世のため人のために戦いながらも、ヒーローでない自分に戻ったときにそのギャップに苦悩し、時にはヒーローとしての能力に対してすら憎悪を覚えることも。

しかし、ピーターにはこうしたウェットさはない。ピーターのもっかの悩みは、幼な馴染みの女の子メリージェーンのことをずっと想いつつも、それをうまく相手に伝えられないこと。言わば一般的に思春期の少年なら誰でもがブチ当たるであろう悩みで(こうしたことをその人なりに乗り越えることで、少年は大人になるのだと思う)、ピーターは普段は友人としてMJを支え、スパイダーマンとしても彼女に降りかかる難を何度も救う。

個人的にはこのヒーロー像は日本的のような気がしていて、よくもこんなキャラクターがアメリカで流行るな、というツッコミを入れたくなる。しかし逆に考えれば、合理的で思ったことをズバズバと言う、自己アピールに長けた欧米人だからこそ(もちろん全ての人がそうだとは言わないが)、ピーターの気質は希少であり、純粋に思えてくるのかもしれない。

最後に音楽。映画全編に渡るBGMは、バットマンも手がけたダニー・エルフマンが担当。サントラ盤にはを始め豪華メンバーが名を連ねているが、劇中には流れない。ただメイシー・グレイが本人役で劇中に出演し歌っていて、洋楽ファンとしては少し嬉しい。

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