ヨラテンゴ(Yo La Tengo)@Tsutaya O-East 2018年10月11日
公開日:
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最終更新日:2023/06/11
Yo La Tengo コーネリアス, ヨラテンゴ, ヴェルヴェッツ
坂本慎太郎のパフォーマンスから約20分のセットチェンジを経て、いよいよヨラテンゴ登場。アイラ・カプランはTシャツにジーパンといういつものラフないでたち、ジェイムズは相変わらずの巨漢、そしてドラムのジョージア。お馴染みの3人だ。
新譜『There's a Riot Going On』の冒頭曲でもある『You Are Here』からスタート。アイラは、シューゲイザーの如くうつむいてギターを弾いていた。静かな曲調は果たしてライヴ映えするのかと思っていたが、不思議な緊張感が漂い、これはこれでアリなのだと思った。
3人とも基本となる楽器パートはあるが、そこに固定されずマルチに使いこなす。アイラはほぼ1曲毎にギターを交換するほかキーボードも弾き、ジェイムズはベースのほかキーボードやパーカッションもこなす。ジョージアは、ドラムのほかマラカス系の小道具を。そして、3人ともリードヴォーカルをとることができるのだ。SEやループなどのプログラミングは、アイラが担っていたのかな。個人的には、ジョージアのドラムが思った以上にパワフルで、際立っていたのが印象的だった。
ステージセットはシンプルだが、後方にライティング機材が設置されていて、曲の雰囲気に合わせるようにして稼動する。ド派手ではないが、効果的だ。
個人的には、ヨラテンにはハードでヘヴィーでノイジーというイメージを持っている。過去に観た2014年EX-Theater公演や2009年ステラボール公演でも、そのイメージが強かった。しかし、数多いアルバムを通して聴くとわかるのだが、ハードでノイジーなのはバンドの片面であって、もう片面はソフトでアコースティックな世界観だ。今回のライヴでは、ソフト面とハード面が混合していて、それでいて流れが崩れていない。加えて、新譜はアンビエント色が強いと来ている。
終盤、『Tom Courtenay』でギアが一段入った感があり、続けざまに『Pass the Hatchet, I Think I'm Goodkind』だ。執拗に繰り返されるリフが耳に焼きつく中、アイラのギターが更に唸りまくる。原曲は10分オーバーの大作だが、ここでは20分かあるいはそれ以上に延々とインプロヴィゼーションが繰り広げられたのではないだろうか。そしてこの曲、2006年以降バンドにとってのマストソング的存在になりつつあるのでは。
そしてアンコールだ。アイラがMCで、ゆらゆら帝国と10年前に対バンやったけど、昨日のことのようだよ〜的なことを言っていた。そして、坂本慎太郎をステージに呼び寄せる。先ほどの坂本のライヴにはジェイムズが加わったが、またもやコラボレーションが実現した。そして曲は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの『Run Run Run』!
坂本がヨラテンに加わるだけでも感涙モノなのに、ヴェルヴェッツと来たか。もともとヨラテンはヴェルヴェッツ・チルドレンと呼ばれていたこともあったし、世界観が重なるところは十分にある。してやったりだ。サビはジェイムズが歌い、その後が坂本とアイラのギターソロ合戦になる。まずは坂本、次はアイラ、そしてツインだ。なんという、どでかいボーナスだ。
坂本が去り、今度はアイラがフロア前方の客男2女1をステージにあげる。どうやら、今回のツアーでは恒例らしい。スタッフが数人出てきて3人を中央にナビゲートしようとするが、どうもちぐはぐ。しかし、男性のひとりがマイクスタンドに向かって口笛を入れ、これが結構通りがよかったので、それで軌道に乗った。客上げは当たりはずれがあってリスクを伴うが、今回はまあまあ及第点かな。2階席にはコーネリアスでツアー中の小山田圭吾がいたが、小山田はかつて客をあげてテルミンで『Love Me Tender』をやってたっけ。
セットリスト
You Are Here
Our Way to Fall
Double Dare
For You Too
Shades of Blue
Mr. Tough
Polynesia #1
I'll Be Around
Deeper Into Movies
Autumn Sweater
Tom Courtenay
Pass the Hatchet, I Think I'm Goodkind
アンコール
Run Run Run
My Little Corner of the World
2ndアンコール
Yellow Sarong
ライヴが終わったとき、時計は22時10分をまわっていた。階段を降りて外に出ると、隣のDuo Music Exchangeで行われていたタヒチ80の公演はもちろんとっくに終わっていて、機材搬出のトレーラーが出るところだった。今回のヨラテンは、6日朝霧ジャム、8日大阪、9日名古屋、10日とこの日が東京という、超がつく過密日程だった。更にこの翌日は新代田でDJとのことで、3人ともいい年なのに、そのタフさには驚きを超えて最早リスペクトものだ。それもこれも、3人がただただ音楽が好きだからなのだろう、きっと。
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