THE RHAPSODY ONLY CLUB CITTA’ BAND@クラブチッタ 2018年10月6日
ビビデバビデバンド終了後、約20分のセットチェンジを経てRCサクセションの『ラプソディー』を演奏する、この日限りのスーパーバンドが登場。ビビデバビデ終了直後はこの後はもういらないという気持ちだったが(笑)、そんなはずはもちろんなく、豪華ラインナップを前にただただ圧倒されるばかりだった。
仲井戸麗市率いる5人組バンドがまずはスタンバイし、1曲毎にゲストが登場して歌うというスタイル。冒頭は『ようこそ』で、登場したのは忌野清志郎のニセモノ。実はホフディランのワタナベイビーだ。しかしこれが、思った以上に清志郎に似ていて、お笑い3割クオリティーの高さに感服7割だ。歌いながらメンバーを紹介していくのだが、ドラムのあらきゆうこのところでは、オノヨーコのバンドでも叩いていると知った途端に(自分の)態度が変わったと言っていた(笑)。
ゲストは、豪華にして多彩だ。レピッシュのMAGUMI、元ちとせ、シアターブルックの佐藤タイジ、山崎まさよし。仲井戸が曲とそれにまつわるエピソードを披露した後にゲストを出身地や肩書きを添えて紹介し、登場したゲストは仲井戸とグータッチを交わした後に歌いあげる。タイジはシアターのライヴで何度か観ているが、相変わらずのアフロヘアと濃い風貌で日本人離れしていて、そしてギターが凄まじい。山崎まさよしは今回はじめて観たが、体格ががっちりしていたのが意外で、ハーモニカを吹きつつあの独特の歌声を聞かせてくれた。
『キモちE』では再びMAGUMIがヴォーカルをとるが、あらきゆうこが捌けて、入れ替わりにドラムを務めたのは森高千里だ。ブルーのアーミールックのジャケットは、もともと彼女の衣装かもしれないが、ビートルズ『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のポール・マッカートニーを思わせる(このバンド名も掛けているんだと思う)。個人的に森高を観るのは25年以上前に自分が通っていた大学の学園祭で観て以来で、まだ彼女がアイドル期だった頃だ。細身の体に似合わないパワフルでエッジの効いたプレイを観ながら、懐かしさと時の流れと巡り合わせの数奇さを噛みしめた。
この後は、杏子と竹中直人のツインヴォーカルによる『たとえばこんなラヴ・ソング』を経て、ゲスト全員を呼び寄せての『いい事ばかりはありゃしない』を。このメンバーで再レコーディングした曲だそうだ。竹中はローリング・ストーンズのベロマークがプリントされた白スーツ姿で、さすがに存在感があった。
アンコールでは、まず仲井戸ひとりだけが登場。クラブチッタ立ち上げにキティレコードが関わっていて、それでこの日のライヴが実現したとか。『ラプソディー』はRCがキティに移籍して再起を賭けたアルバムで、そのときのディレクターで後にオフィスオーガスタを立ち上げた森川欣信に、感謝の意を伝える仲井戸。なるほど、この日の出演アーティストの多くはオーガスタ所属だ。
この後バンドとゲストにKONTAと森川も加わって、『雨あがりの夜空に』に。元ちとせ、杏子、森高の女性陣は、向かって右に陣取ってコーラス。そして、全員『ラプソディー』のジャケットがプリントされたTシャツ姿だ。豪華だ。なんとも豪華な光景だ。複数のアーティストが集うフェスやイベントの締めくくりに、出演者全員が揃うのは定番だが、武道館やさいたまスーパーアリーナならいざ知らず、チッタではとても冷静ではいられなかった。なんという密度の濃さなのだろう。そして、このラインナップを実現させてしまうクラブチッタは、やっぱり素晴らしいハコだ。
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