オアシス(Oasis)『Lord Don’t Slow Me Down(DVD)』
オアシスが2005年の『Don't Believe The Truth』に伴って行ったツアーを収めたドキュメンタリー映像を観た。
まずはディスク1の本編。ほぼ全編モノクロで、ステージでの演奏シーンは断片的に収められ、移動中のバスの中、楽屋でのメンバーの表情など、ライヴ会場に足を運んだときには見ることのできないシーンが伺える。ラジオ番組の収録など、各地でのプロモーションを精力的にこなしているのはノエルだ。一緒にツアーをしたであろう、カサビアンやジェットのメンバーも確認できる。『Cast No Shadow』を捧げたリチャード・アシュクロフトは、何かの賞の授賞式でプレゼンターとして姿を見せていた。
全米ツアーを経て、11月に行われた日本公演の映像になる。成田空港に降り立ったところからはじまり、楽屋での雑誌取材、代々木体育館でのライヴの場面、六本木のパブでビートルズのコピーバンドの演奏を見るリアム、東京駅から新幹線に乗って移動するメンバー、楽器店を訪れてドラムを叩くザック、ウクレレを弾くゲムとアンディなど、彼らのリラックスした表情が見て取れる。
日本の後はオーストラリアを訪れていて、ラストは映画のタイトル曲にして新曲である『Lord Don't Slow Me Down』が、エンディングクレジットのバックでフルコーラスで流れる。ボーナスコンテンツは、アウトテイク映像に合わせてニューヨークでのQ&Aセッションにノエルが答える音声を流している。
ディスク2は、2005年7月にバンドの地元マンチェスターで行われたライヴで、会場はサッカーチーム、マンチェスターシティの本拠地であるシティ・オブ・マンチェスター・スタジアムだ。まず目を引くのが、オーディエンスの異様なまでの熱狂ぶりだ。アリーナがオールスタンディングになっていて、開演前からテンションが異常に高く、SEとして『Fuckin' In The Bushes』が流れた途端、場内は蜂の巣を突っついたかのような騒ぎになる。演奏は『Turn Up The Sun』から始まるのだが、イントロだけで中断。スタッフがノエルに耳打ちし、ノエルがオーディエンスに対し一歩下がるよう呼びかける。スタッフがアリーナ最前列の柵を直したところで、仕切り直しで再度演奏が始まった。
ライヴ開始時はまだ日が高く周囲は明るかったのだが、曲が進むにつれていつのまにか日は落ちていて、ステージを彩るライティングが冴え渡ってくる。新譜『Don't Believe The Truth』に伴うツアーなので、当然のことこの新譜からの曲が多めに披露される。そして、ほとんどの曲がオーディエンスによる大合唱となり、リアムやノエルの声がほとんど聞こえないという状態に。いくら地元とはいえ、この状況はかなり異様だ。
カメラアングルはかなりめまぐるしく、バンドメンバーひとりひとりを代わる代わる捉えつつ、ステージ全体やオーディエンスの様子などもくまなく捉えようとする。ドラマーのザックからのアングルが結構新鮮だった。いちばんのハイライトはやはり『Don't Look Back In Anger』で、オーラスは『My Generation』だった。後で気づいたのだが、このライヴは以前WOWOWで放送されたことがあった。
この年はサマーソニックのヘッドライナーでも来日していて、個人的には11月の来日公演と両方観ているので、そのときの感動がよみがえってきた。『A Bell Will Ring』は恐らくこのときのツアーでしか演奏しなかっただろうし、何よりドラマーがザック・スターキーで、その勇姿が記録されているのは貴重だ。
こちらのボーナスコンテンツは、ファン投稿の写真と映像をまとめたもの。日本人のファンも何人か確認できた。
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