スーパーオーディオラウンジでナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)『The Downward Spiral』を聴いた(2006年3月)
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Nine Inch Nails ナイン・インチ・ネイルズ, ビョーク
2006年3月、銀座ソニービル8Fのソミドホールで行われた、スーパーオーディオラウンジというイベントに行ったことがあった。通常のCDより高音質のSACDを、豪華オーディオセットを用いて聴き入るという趣旨だ。
ホールは、スピーカーが正面は元より両サイドにも設置され、更には天井からも吊るされていた。右サイドの壁にはアナログ盤が、左サイドにはCDが飾られていた。始まる30分くらい前に到着したのだが、既に10数人の人がいた。これが徐々に人が集まり出し、椅子も次から次へと継ぎ足されて、最終的には100人近い人が集まったと思う。
時間になるとソニーの人により説明があり(SACDプレーヤーは30万、アンプは60万だそうだ)、そしてロッキングオンなどで執筆しているライター、鈴木喜之氏が解説。今回流すSACDは2枚で、デペッシュ・モードが2005年にリリースした新譜『Playing The Angel』と、ナイン・インチ・ネイルズの『The Downward Spiral』だ。
まずはデペッシュだが、当時のワタシは新譜はおろかこのバンドの音を一切聴いたことがなかったので、まずはどういう音を出すバンドなのかということに気が行った。若干エレクトロがかってはいるが、生音による演奏を主体としているような印象を受けた。音の細部にまで神経が行き届いているようで、それがSACDという媒体が持ち合わせる機能を生かしているように感じた。
そしてナイン・インチ・ネイルズだが、『The Downward Spiral』は通常盤も豪華盤も両方持っていて、何度も聴いている。今回流されたのは豪華盤の方で、5.1チャンネルサラウンド対応だそうだ。
冒頭の『Mr Self Destruct』から、度肝を抜かれてしまった。重低音がずしりと響き、低音から高音に切り替わる際の落差が鮮やかだ。大音量が四方のスピーカーから洪水のように流れ出し、両耳を襲った。通常のCDとSACDではこうも違うのかと驚かされたし、これこそがトレント・レズナーがほんとうに表現したかった音なのではないかと思わされた。
『March Of The Pigs』は前半のハイライトを成し、以降も流れる曲がいずれも高い緊張感を持続。圧倒的ながら緻密で複雑な音を以って聴く側に迫ってきた。ラストの名曲『Hurt』が流れ出した瞬間、ひとつの壮大な物語が締めくくられたのだという安堵感に包まれた。
この後は、残りの時間を使ってビョークの『Medulla』が少し流された。こちらも重厚で緻密な音の世界が構築されていて、できるならフルで聴きたかった。
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