*

GOAL!2 STEP2 ヨーロッパ・チャンピオンへの挑戦(2007年)

公開日: : 最終更新日:2024/05/19 GOAL!

GOAL!2 STEP2 ヨーロッパ・チャンピオンへの挑戦(2007年)

プロサッカー選手になるという夢を実現し、プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドに入団した、サンティアゴ・ムネス。その後もチームでゴールを量産して活躍し、プライベートでも恋人と婚約。そんなムネスに、スペインのレアル・マドリードへの移籍の話が舞い込んでくる。もちろんサンティアゴは承諾。試合ではスーパーサブとして終盤に交代出場し、少ないチャンスをモノにしていく。全てが順調に進んでいたが、あるときサンティアゴの前に「自分は弟だ」という少年が飛び出す。そして、実母もスペインにいた。

前半は何もかもがうまく運んでいるが、やはりそのままというわけにはいかず、中盤に差し掛かる頃には徐々に歯車が狂ってくる。いないとされていた母の存在に動揺し、せっかく先発出場した試合でも早々にレッドカードを食らってしまう始末。更には不注意から足をケガしてしまい、パパラッチには追いかけられ、婚約者との関係もぎくしゃくしてしまう。

公開前から、話題になっていたことがいくつかあった。まずは噂になっていた日本でのロケだが、序盤にて早くも適用されている。レアルへの移籍交渉の場として、毎年夏場にアジア遠征しているレアルにムネスが合流するという形で舞台は東京へ。成田空港への選手の到着シーン、渋谷や新宿の夜景、そして日本のチームとの親善試合のシーンなどを観ることができる。

キャストは、前作以上にプロサッカー選手が本人役で大挙出演。ベッカム、ジダン、ロナウド、ロベルト・カルロス、ラウール、アンリ、レーマンなどの姿を確認することができる。レアルの監督は、その風貌がオシムにそっくりだったのだが、この人はなんとだった。

前作は、貧しい生活をしていたサンティアゴがチャンスをモノにしていくという、典型的なサクセスストーリーだった。なので、おのずと彼に感情移入しながら観る格好だった。対して今作は、ある程度の成功を得た上で更なる向上を目指し、またさまざまな要素が絡まったストーリーになっていて、前作よりも一歩引いた目線で観た。

描かれているのは、サッカーを軸にしたさまざまな「愛」だ。アメリカに暮らしながらサンティアゴの活躍を信じている、おばあちゃんと弟。更に今作では、いないとされていた母が実はスペインにいて、義理の弟ともども出会いを果たす。これらは、言わば家族の愛である。自分たちを捨てたと思っていた母だが、実は言うに言われぬ事情と運命とが複雑に絡み合っていて、サンティアゴは一時は動揺するも、やがて母を許しそして受け入れる。

移籍先のレアル・マドリードには、ニューカッスル時代のチームメイトだったガバン・ハリスが先に移籍していた。しかしハリスは不調で、ハリスと交代出場したサンティアゴがチャンスをモノにしていくという格好になり、両者の間にできていた友情は微妙な関係に(最終的には友情も実力も両者共に持ち直すのだが)。サンティアゴを見出したエージェントとの師弟愛も、前作より引き続いて描かれている。

そしてサッカーと並行して軸になっているのが、婚約者との関係だ。舞台はニューカッスルからマドリードへと移るものの、マドリードに居を構えるサンティアゴに対し、看護師としての仕事を続ける婚約者は、ニューカッスルとマドリードとを行き来する格好になる。

つまり遠距離恋愛で、パパラッチにさらされるサンティアゴは婚約者との関係ももつれてしまい、お互いがお互いの存在を考え直す具合にもなっている。この婚約者を、有名サッカー選手に依存する女としてではなく、意思を持って仕事をする女性という設定にしているのも、ポイントのひとつかもしれない。

サンティアゴをメキシコ人という設定にしているのも、いろいろ背景があると思う。今作で舞台がスペインになるとき、スペイン語圏であるメキシコ人というのは、結構都合がいい。また、完結編ではメキシコ代表として戦うことになるが、南米やヨーロッパの強豪国出身としていないところに、より世界中の多くの地域のサッカーファンが感情移入しやすい状況ができあがっていると思う。

関連記事

GOAL! STEP1 イングランド・プレミアリーグの誓い(2005年)

メキシコからロサンゼルスに不法入国し、苦しいながらもなんとか生活していくサンティアゴ・ムネス

記事を読む

GOAL!3(2009年)

FIFAが全面協力して作られたサッカー映画で、「Goal!」「Goal!2」に続く3部作の完

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑