パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd,PiL)@EX-Theater
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最終更新日:2018/07/04
Public Image Limited(PiL) PiL, ジョン・ライドン
今年はパブリック・イメージ・リミテッド(以下pil)デビュー40周年だそうで、もうすぐキャリアを総括したボックスセットがリリースされるほか、精力的にツアーも行っている。と、そのツアー転戦地から離れたここ日本での公演もなぜか決定。不思議だが、嬉しいことに違いはない。
社会人に優しい19時半開演で、2~3分過ぎたところで客電が落ちた。ベースのスコット・ファース、ギターのルー・エドモンズ、ドラムのブルース・スミスがゆっくりと登場。そしてジョン・ライドンが姿を見せたところで、場内が一段と沸いた。オープニングは、なんと『Warrior』。今までならライヴ終盤でギアチェンジする効力を持っていた曲を、いきなり持ってきた。
ルーのディストーションかかりまくりのギターは、現在のPilの音の核と言っていいだろう。スコットのベース、ブルースのドラムも、思った以上にクリアに聴こえる。会場のよさか、それともPiLスタッフの技術か。バックドロップにはゴールドとブルーによるロゴがあり、これが再結成以降のバンドのトレードマークといったところか。細身のルーは白シャツ姿、スコットはブルーのスーツ、ブルースはピンクのジャケットを着ていて、みな素敵でカッコいい歳の取り方をしている。
そしてフロントマンのジョンだが、ステージ前方センターに陣取り、楽譜立てに紙をセットしては適宜めくっている。白シャツに黒ベストで、腰にはツアーグッズのマフラータオルをつけていた。メガネ姿は『This Is PiL』のボーナスDVDのライヴでも見ているが、年齢と、そして知性を感じさせる。フロアのオーディエンスのリアクションのよさに、結構機嫌をよくしていた。
前半は、どちらかというとじっくり演奏し聴かせるモードだった。初期衝動ではなく、長い年月をサヴァイヴし復活を果たした、自信と誇りが感じられた。ルーはかなりの頻度でギターを交換していたが、いずれもディストーションは健在だった。スコットも2本のベースギターとスティックを駆使していて、ここまで楽器を替えるベーシストは珍しいかなと思った。エレクトロなSEは、最初はブルースが操作しているかと思ったが、たぶんPAスタッフが担っていたと思う。
『白鳥の湖』のフレーズが組み込まれている『Death Disco』や、傑作アルバムの表題曲『Flowers of Romance』では、イントロの瞬間の場内のざわつきにニヤニヤしてしまった。これらはライヴの場ではより長尺になり、摩訶不思議な空間を生み出すことに成功している。後者ではスコットが前半キーボード、後半でスティックからベースと、目まぐるしく機材を駆使していた。
『This Is Not a Love Song』から『Rise』という鉄壁の流れで本編を締め、そしてアンコールで、ついにバンドの名刺的な曲『Public Image』だ!突き刺さるような感覚を備えていながら軽快でポップなメロディーは、永遠不滅の名曲だ。そして、ライヴではハイライトを飾ることの多かった『Open Up』へ。いつ終わるとも知れない幻惑モードが繰り広げられるのかと思いきや、ここでもっかの新譜『What The World Needs Now』のラストナンバー『Shoom』を組み込んできた。
セットリスト
Warrior
Memories
The Body
The One
Corporate
The Room I Am In
Death Disco
Cruel
I'm Not Satisfied
Flowers of Romance
This Is Not a Love Song
Rise
アンコール
Public Image
Open Up
Shoom
演奏時間は2011年のスタジオコーストや2013年のShibuya-AX公演よりはコンパクトになりはしたが、ジョン・ライドンとPiLはやはり健在だった。デビュー40周年なら、キャリアを総括したベストヒット編成になりがちなものだが、ジョンは新譜『What The World Needs Now』からの曲を軸にするという、つまり「今」の自分たちを表現する選択をした。リードトラックと言える『Double Trouble』がなかったのは意外だったが、『I'm Not Satisfied』やオーラス『Shoom』での「What The World Needs Now」という(新譜タイトルにもなっている)フレーズに、まだまだオレたちは現役なんだという、ジョンの意地を見た気がした。
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