パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Limited)『PiL日本’83』
公開日:
:
最終更新日:2020/02/26
Public Image Limited(PiL) PiL
パブリック・イメージ・リミテッド(pil)は、1983年に初来日行公演を行っている。そのときの模様がライヴアルバムとライヴビデオ(VHS)としてリリースされている。VHSは後に廃盤となったが、2001年にDVDとしてリリースされた(しかし、現在はこちらも廃盤?)。
単一の公演を収めたものではなく、東京中野サンプラザのほか大阪、京都、そしてなぜかロサンゼルスの公演もあり、これらがミックスされてひとつの公演のように仕上げている。メンバーの衣装や客層などは、当然バラバラだ。このときのPiLはキース・レヴィンもジャー・ウォブルも脱退していて、オリジナルメンバーはジョン・ライドンとドラムのマーティン・アトキンスのみ。つまり、ジョンのソロ・プロジェクト化が始まった時期になる。
アルバム『Flowers Of Romance』に伴うツアーのはずだが、セットリスト的にはむしろこの翌年にリリースされる『This Is What You Want』からの曲を先行披露している印象の方が強い。このときのジョンはまだ細身で、体の動きにキレがある。そして、自由というかリラックスしているというか、楽しくやれているように見える。終盤にセックス・ピストルズの『Anarchy In The UK』を演奏しているのだが、当時このライヴを体験した音楽評論家によるライナーノーツによると、まさかまさかのピストルズだったらしい。
ライヴ映像の合間には、秋葉原の電気街に繰り出していたり、京都のお寺を観光していたりする様子が挿入されている。そして、なによりジャケット写真だ。新宿東口の丸井やカメラのさくらやをバックに立つジョン。これらが、時間を経た今となっては、当時の世相を収めた貴重な記録のように思えてしまう。また、ステージではないアフターパーティーのようなところでファン?にもみくちゃにされたり、新宿駅構内で通勤客に囲まれたりと、今では考えられないような撮影風景もある。
惜しむらくは、収録時間が42分と短いことだ。当然フルライヴではなく、演奏曲も少なめになっている。VHSパッケージで商品化するための、販売価格などを考慮してのことだったのだろうか。いや、そうした不満を差し引いても、充分おつりが来る映像作品だ。
関連記事
-
メタル・ボックス・イン・ダブ(Metal Box In Dub)、来日公演中止
今日から行われるはずだったメタル・ボックス・イン・ダブの来日公演が、メンバーのひとりが入国で
-
パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Limited)『This Is PiL』
2012年、実に20年ぶりとなるオリジナルアルバム『This Is PiL』をリリースした、
-
パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd,PiL)@EX-Theater
今年はパブリック・イメージ・リミテッド(以下PiL)デビュー40周年だそうで、もうすぐキャリ
-
パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Limited,PiL)『Addictive』
パブリック・イメージ・リミテッドのライヴDVD『Addictive(輸入盤)』を観た。パッケ
-
パブリック・イメージ・リミテッド(P.i.L.)『Metal Box (Super Deluxe Edition)』
ジョン・ライドン率いるパブリック・イメージ・リミテッド(P.i.L.)は、2009年に活動再