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SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬@ジャックアンドベティ

SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬@ジャック・アンド・ベティ

の写真を撮った、鋤田正義さんのドキュメンタリー映画「SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬」を観た。鋤田さん本人が、この映画のために今まで関わったアーティストや関係者たちと対談。また、鋤田さんを知る人たちによるコメントも多数寄せられている。

対談したのは、布袋寅泰、高橋幸宏、、糸井重里、ポール・スミスら。冒頭に『Begind The Mask』が流れた後、布袋のライヴをステージ直下で撮影する鋤田さんのショットに。そして、ロンドンのマーク・ボランが事故死した場所を2人で訪れた後に布袋の自宅?での対談へ。布袋は鋤田さんが撮影したマーク・ボランの写真を見て、ギターをはじめたそうだ。ポール・スミスは、18歳でデザイナーになりたての頃と知り合い、その後やデヴィッド・ボウイらとも交流を持つようになったとのこと。アーティストが自らショップを訪れることは少ないが、ボウイは頻繁に足を運んでいたそうだ。

コメントを寄せていたのは、山本寛斎、高橋靖子(ヤッコと呼ばれていた)、、永瀬正敏、、アキマ・ツネオなど。寛斎とヤッコは、鋤田さんと共にボウイに関わった盟友の間柄で、話を聞いていて勝手に誇らしい気持ちになった。ジャームッシュは『ミステリー・トレイン』のスチール写真を鋤田さんに撮ってもらい、写真集として出版。撮影の邪魔にならないように、かつ自分が気づかない瞬間を捉えてくれていたとのこと。自分の映画の写真集は、これを超えられないから以降出していないというジャームッシュのことばは、最大級の賛辞だ。PANTAはソロ1作目のジャケット撮影の裏話をし、アキマは毎年開催しているマーク・ボラン追悼ライヴを続けるうち、鋤田さんが持っていたボランの遺品を譲り受けたと語っていた。

鋤田さんは、ワタシたちが思っている以上に、世界中の多くの業界人や関係者に認知されているとわかった。ロンドンやニューヨーク、イタリアなどのギャラリーで鋤田さんの写真展が開催されたのが、それを物語っている。やはり、ボランとボウイの写真のインパクトだろうか。先のジャームッシュもそうだったが、海外のクリエイターたちは、リスペクトを込めて「スキタサン」「スキタセンセイ」と言っていたのが印象的だった。ニューヨークの展示には、ミック・ロンソン夫人が訪れていた。

過去の実績に依存することなく、常に新しいことにチャレンジしているのも素晴らしい。フィルムからデジタルカメラへの移行も受け入れ、フィルムの質感もデジタルで表現できると言っていたのには驚いたと、「ワンダフルライフ」のときに一緒に仕事をした是枝裕和は語っていた。子供いや孫ほども年齢差のあるであろうMIYAVIを被写体とした撮影の場面では、共に対等に渡り合いつつ、お互いを認め合っているさまが伺えた。

個人的に、これまで何度か鋤田さんの写真展には足を運ばせてもらっている。2006年の銀座2012年の渋谷と恵比寿2014年の青山、そして2017年の品川キャノンギャラリー。直近の品川の写真展はボウイとを取り扱っていて、自らイギーを撮影したときの模様を語ってくれた。77年のプロモ来日時の撮影で、ボウイの写真が『Heroes』のジャケットに使われたのは有名だが、イギーの写真が『Party』に使われたのは知らなかった。イギーは、アルバムから鋤田さんのクレジットが漏れてしまったのを後日詫びたそうだ。

ご本人は偉ぶる素振りもなく、見た目は気のいいおじいさんだ。しかし、この物腰の柔らかさに、多くのアーティストたちは鋤田さんを信頼し、心を許すのだろう。細野晴臣は、鋤田さんには撮られているという感覚がないと言い、また、自分より年長の鋤田さんや横尾忠則が元気でやっているのが励みになっているとも言っていた。鋤田さんは今年5月で80歳を迎えたが、未だに現役だ。

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