ヴァレリアン 千の惑星の救世主(ネタバレあり)
西暦2740年。連邦捜査官のヴァレリアンとその相棒ローレリーヌは、ブラックマーケットで取引される、わずかな資源から莫大なエネルギーを生み出す変換器を奪取する任務を遂行し、”千の惑星の都市”「アルファ宇宙ステーション」へ。そこで今度は司令官を護衛する任務につくが、青い肌のパール人に司令官は拉致されてしまう。
フランスのコミックを実写映画化していて、この原作は『スター・ウォーズ』にも影響を与えているとか。リュック・ベッソンが長年実写化を望み、CG技術の進歩をはじめとする表現手段の成熟により、制作にこぎつけた。なるほど、惑星都市アルファや多種多様の人種民族を描くクオリティは、『スター・ウォーズ』『スター・トレック』などのSF映画に少しも劣らない。
序盤の伏線と、その回収も見事だ。序盤はパール人の惑星が滅亡するシーンが延々描かれ、これどういうストーリー?と思っていたら、ヴァレリアンの夢というオチに。しかし、これらのシーンは実際にあったことで(『トータル・リコール』を思い出す)、パール人の王の妹が、亡くなると同時に相性のいい他の生物に憑依する特性によってヴァレリアンに乗り移り、彼に映像を見せていた。そして、パール人の惑星滅亡の真相や、そこに誰が関わっていたのかというのも明らかになる。最初の任務でヴァレリアンが奪取した変換器も、終盤で生きてくる。
しかし、個人的には不満もある。宇宙の秩序を守るという壮大なテーマに、ヴァレリアンとローレリーヌのラヴストーリーが並行しているのだ。ヴァレリアンは捜査官としては腕利きだがプレイボーイでもあって、いつもローレリーヌを口説いている。彼女はうんざり。2人は付き合ってもいないのに、ヴァレリアンはプロポーズだハネムーンとか言って、そりゃ飛躍しすぎだろうと。最後に2人がくっつくのもミエミエだし、セリフも(洋画だけど)昭和かよ!とツッコミたくなる古臭さだ。
中盤、誘拐された司令官を捜しに出たヴァレリアンが行方不明になる→ローレリーヌがヴァレリアンを捜しに行く→2人は合流するも今度はローレリーヌが異星人に連れ去られる→ヴァレリアンが彼女を助けに行く、というくだりがある。これは捜査うんぬんではなく、2人の距離感を縮めるための展開にしか見えず、これ必要か?と思ってしまった。ヴァレリアンがローレリーヌを助けに行くときに協力するのが、バブルという異星人で、彼女の見せ場のための展開にもなっている。
キャストは、ヴァレリアンをデイン・デハーン、ローレリーヌをカーラ・デルヴィーニュ、司令官をクライヴ・オーウェン、バブルをリアーナ。連邦の大統領として、ルトガー・ハウアーが序盤にちょこっとだけ登場する。モニター越しに登場する大臣は、ハービー・ハンコックだった。
デイン・デハーンは、『アメイジング・スパイダーマン2』『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』で観ている。カーラは『スーサイド・スクワッド』で学者/魔女役をしていた人。モデルでもあるそうだ。2人とも若くいい資質を備えていると思っていて、今後もっと飛躍していい俳優・女優だ。
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