コーン(KoRn)『The Path Of Totality(Special Edition)』
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KoRn
コーンが2011年11月にリリースしたアルバム、『The Path Of Totality』。スペシャルエディションはCD+DVDの豪華盤になっている。
まずはCD。彼らのキャリア史上かなりの異色作で、賛否分かれるところと思われる。曲毎にダブステップDJと組んでいて、純粋なコーンの作品というよりはコラボレートに近い。ほとんどの曲が、打ち込みのビート音をベースにしてバンド演奏しているというもの。プロディジーに似た感触を覚える。彼らの新たなる挑戦であり、野心が垣間見れるが、一方で決定打となる曲が見当たらない。これまで、コーンはどのアルバムでもリードトラックを生み出してきたはずだが、今作に限っては1曲1曲が一見バラバラのようでいて、アルバム1枚でセットというように思える。
収録曲のほとんどは、2011年の東南アジアツアー中に書かれたものだ。CDパッケージのクレジットには、何日にどの国のどこで制作されたかというのがこと細かに書かれていて、なんと日本でもそれが行われている。バンドはサマーソニック2011出演で来日していたのだが、10曲目の『War Too Far』がそれだ。彼らが宿泊しているホテル名ばかりか、部屋番号まで記されている。東京ではパークハイアット、大阪はロッジ舞州とリッツカールトンとなっていた。日本人として、光栄だ。
DVDは、アルバムとは別の野心に満ち溢れている。『The Encounter』と題されていて、彼らの出身であるカリフォルニア州ベイカーズフィールドの巨大な畑に人工的にミステリーサークルを作り、無観客でバンドが演奏するという試みをしている。だだっぴろい野外に無観客で、果たして緊張感が保たれるのだろうかとも思ったが、バンドが目指す先は遥かな高みなのだろう。異様な環境は彼らをストイックにしている。カメラアングルは、人の目線と上空ヘリからとが使い分けられている。また、ライヴが始まったときはまだ明るかったのだが、徐々に日が傾き、終盤はすっかり日没となった状態での演奏だ。
3~4曲毎にメンバーのインタビューやスタジオでのリハ風景などが挿入されていて、ドキュメンタリーの一面も持ち合わせている。この試みの契機となったのは、ピンク・フロイドの『Live At Pompei』だそうだ。なるほど。コーンは毎回アルバムの初回盤に映像を入れてきていて、過去にはCBGBでのライヴなども入れていたことがある。しかし今回はファンならずとも必見で、個人的にはCDのスペシャルエディション同梱ではなく、単品リリースしてもいいくらいの貴重な映像だ。
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