コーン(KoRn)『(Untitled)』
コーンが2007年にリリースしたアルバムは、タイトルはなく、便宜上『Untitled』とされていて、日本盤はそのもの『無題』となっている。『MTV Unplugged』にも不参加だったドラムのデイヴィッドが、自分が経営する店に専念したいとかでバンドを正式に脱退している(当初は長期休養とされていた)。
音としては、これまでで最もポップだった『Follow The Leader』よりも更にポップになった印象があり、とても聴きやすい。電子音の導入は新たな試みといえるが、正直微妙だ。リードトラックは『Evolution』だが、個人的には『Killing』のイントロのビートがかなり印象的で、耳に残る。
初回盤にはDVDが同梱されており、ドキュメンタリー映像にて制作の様子やバンドの状況が確認できる。ドラマー不在を克服すべく、バンドはレコーディングのために、なんとテリー・ボジオを動員。もともとはフランク・ザッパのバンドに在籍し、プログレやハードロックなどジャンルを問わず、その技量を求めるアーティストは後を断たない。アメリカを代表するドラマーのひとりと言っていいだろう(ちなみに日本人女性と結婚している)。
ジョナサン、マンキー、フィールディーの3人は、テリーへの称賛を惜しまない。テリーのドラムセットは、ハイハットやタムタムが限界まで取りつけられていて、どうやって叩くのかと思わせる。ワタシはジェフ・ベックの『Guitarshop』で知るのみで、本人を見たのはこれが初めて。コーンの作品ではあるが、動くテリーが観られるだけでも、このDVDには価値がある。
3人体制になってしまったが、悲壮感はあまり感じられない。DVDに見られる3人はリラックスしていて、いろいろな楽器を操ったリ、テリーのドラムを叩いてみたりと、レコーディングを楽しんでいるさまが伺える。バンドとしての歩みを止めず、前に進むことを選んだ彼らの姿勢こそが、素晴らしいと思う。
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