ザ・ジャム(The Jam)『About The Young Idea & Live At Rockpalast 1980』
ザ・ジャムの秘蔵映像が2015年にリリース。ドキュメンタリーDVD+ライヴDVDで、ワタシが持っているのはライヴCD付の限定盤だ。
【About The Young Idea】
今回新たに制作されたと思われる、ドキュメンタリー映像。現在のポール・ウェラー、ブルース・フォクストン、リック・バックラーのジャムのメンバー3人はもとより、エンジニアやレーベルの重役、音楽評論家などが登場。みな、自分の若い頃の写真を手に持って自己紹介するところからはじまる。
驚かされるのは、ジャムは結成時4人だったことだ。第4の、いや第ゼロの男と言っていいのが、スティーヴ・ブルックスという人。ウェラーとは同い年で、2人でセッションしているのがなんとも微笑ましい。スティーヴはデビュー前に脱退してしまうが、ロックバンドを職業としてやっていくことに不安があったからだろうか(解説の大貫憲章は、ウェラーとの主導権争いの末に去ることにしたのではと推測している)。
ブルースとリックはウェラーより3歳年上だが、ウェラーが最初からリーダーシップをとっている。ウェラーは当初ギターを弾くつもりがなかったが、ブルースのギターが拙いためベースに替えさせ、自分で弾くことにしたそうだ。父ジョンがマネージャーを務めていたことも、ウェラーを強気にさせていたのかもしれない。今のブルースには以前の面影があるが、スキンヘッドのリックは『ちびまる子ちゃん』の友蔵のようだ(笑)。
コメントを寄せる人の中に、なんと日本人女性がいた。東京出身でジャムにハマリ、語学留学でロンドンに行き、そのまま居ついてしまったとか。この人、もしかしてジャムファンの間ではかなり有名な人なのかも。
デビュー以降、5年間を突っ走るように駆け抜け、82年に解散。当初はツアーの最後に明らかにするつもりがメディアに漏れてしまい、解散ツアーになってしまったとのこと。そして2015年、ロンドンでジャムの回顧展が開催されたそうだ。ウェラーは再結成は絶対にないと言い切り、一方ブルースは「フロム・ザ・ジャム」というセルフ・トリビュート・バンドとして活動しているらしい。映像ではリックがドラムを務め、そしてウェラーの代役はジャムのラストツアーを客として観ていた青年だった。
【Live At Rockpalast 1980】
『ロックパラスト』はドイツの音楽番組で、70年代や80年代の映像が現在海賊盤として流通していることが多い。個人的にも、pilやパティ・スミスのDVDを持っている。音楽番組と言いつつスタジオライヴではなく、ライヴハウスにカメラを持ち込んで撮影しているので、ふだんのライヴと変わらない臨場感が味わえる。CDとDVDは収録曲が同じだ。
日にちは1980年11月30日で、時期的には『Sound Affects』リリース直後にあたる。なので、前半は『Sound Affects』からの曲を中心に演奏され、後半に『This Is The Modern World』や『In The City』といった初期の曲が織りこまれている。カメラワークは、当然ながらウェラーを最も多く捉えている。たまに客側のフロアも抜かれるが、男率が高い(笑)。革ジャンに短髪の青年が結構いて、当時は終わっていたはずのパンクの受け皿にもなっていたかもしれない。
『The Eaton Rifles』は現在のウェラーのライヴでもハイライトを迎える曲だが、ジャム時代は言わずもがなで、この曲を求める客の歓声が何度となくあがる。そしてバンドは、アンコールで演奏している。
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