ジョニーは戦場へ行った(1971年)
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最終更新日:2021/08/08
Metallica
アメリカ人の若者ジョニーは、第一次世界大戦にて被弾。命こそ取り留めたものの、全身包帯だらけで病院に収容された。目、鼻、口、両手、両足がなく、医師や看護師、軍の上層部からは植物人間とみなされる。しかし、実はジョニーの意識はしっかりしていて、唯一動かせる首を振ることで、なんとか「外部」との接触を図ろうとしていた。しかしその動きも、単なる痙攣とみなされてしまう。
今が昼なのか夜なのか、何日何ヶ月何年経ったのか、その感覚がまるでわからないジョニー。出兵前の恋人とのひとときや、小さい頃の家族との記憶に思いを馳せれば馳せるほど、現実の自分の状態が夢ではないかと思い込みたくなる。
やがて看護師が交代し、彼女はジョニーの首の動きが痙攣ではなくジョニーの意思表示ではないかと思いはじめる。あるとき看護師はジョニーの胸に字を書き、その日がクリスマスであることをジョニーは知る。ジョニーの首の動きがそのリアクションであることを確信した看護師は、医師たちを呼び寄せた。ジョニーはモールス信号で意思を伝えたのだが、ジョニーが望んだこととは・・・。
原作の小説があって、刊行されたのは1939年。まさに第二次大戦に突入する時期だった。作者は危険人物として何度か拘束され、解放後も当局の目から逃れるために、名前を変えたそうだ。やがて映画化のチャンスを掴み、65歳にして脚本と監督を務め、世に放ったのがこの映画である。またこの人は、変名で『ローマの休日』の脚本も手がけているとのことだ。
戦争の恐怖、愚かさを描いた作品はいくつもあるが、戦場ではなくそのあとを主体としつつ、これほどまでに悲惨かつ痛烈な作品はあるだろうか。現在のジョニーのシーンはモノクロで、回想シーンがカラーというのも効果的だ。全編地味で暗く、ラストも救いがないのだが、不思議と観ていて退屈はしなかった。
メタリカは、この作品の原作をもとに「絶対的な孤独」をテーマとして名曲『One』を書いている。それまで絶対にPVを作らなかった彼等は、この曲で初めてPVを作り、高い使用料を払って映画のシーンをPVに組み込んでいる。
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