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オリエント急行殺人事件(1974年)

オリエント急行殺人事件(1974年)

1935年。エルキュール・ポアロはに向かうべく、オリエント急行に乗車。しかし、一夜明けた翌朝、乗客のひとりラチェットが殺害され、ポアロは乗客への聞き込みを開始する。ラチェットは自分の命が狙われていることを自覚していて、ポアロに護衛を依頼していたが、ポアロは断っていた。

実はラチェットは、かつてマフィアのボスでカセッティという名だった。アームストロング大佐の娘を誘拐し殺害するも、容疑は他の人にかかっていた。そしてオリエント急行に乗り合わせた乗客たちは、目的地以外に共通点はないと思われていたが、実はみなアームストロング大佐一家に深い関わりを持っていた。

アガサ・クリスティ原作のミステリー小説を映画化したもので、個人的には現在公開中のケネス・ブラナーが監督・主演した版の後にこちらを観た。ケネス版は豪華キャストだったが、こちらも豪華だ。ポアロはアルバート・フィニーという人で、ポアロといえばこの人という、決定的なイメージを持たれているらしい。やイングリッド・バーグマンの顔もある。ケネス版とは、人により設定や年齢を変えている(さて、原作により近いのはどちらか?)。

アルバート・フィニーのポアロは、ケネスとは別の意味でクセが強い。かなり強気で、時に威圧的だ。口元のヒゲには相当なこだわりがあるようで、就寝時には保護を怠らない。ショーン・コネリーは軍人らしい頑固さと凛々しさがあり、イングリッド・バーグマンは、この人らしからぬ地味で控え目な役どころだ(この役でアカデミー助演女優賞を受賞しているそうだ)。

ケネス版は映像がきれいで視覚的な魅力があり、アクションもあり、最後の晩餐を思わせる象徴的なシーンもある。対してこちらは、乗り込んだ後はほぼ列車の中での会話劇となり、いわゆる密室ものと言っていいのではないだろうか。

監督は、シドニー・ルメットという人。個人的には、この人が監督した他の作品では『十二人の怒れる男』や『狼たちの午後』を観たことがある。

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