"不滅の男"遠藤賢司さん死去
エンケンこと遠藤賢司さんが25日に亡くなられた。胃がんと闘いながら音楽活動を続けていたが、23日に入院し、翌24日に容態が急変したとのこと。70歳だった。
活動を始めたのが1969年というから、日本のロックアーティストの最古参のひとりに数えられるだろう。コンスタントに作品をリリースし続け、ハードでソリッドでいながらもどこかユーモアを漂わせていて、愛されるキャラクターだった。
個人的には、1度だけライヴを観たことがある。それも通常のライヴとは少し異なる、ラジオ番組の収録だった。狭いスタジオで間近で観ることができ、とても贅沢な空間と時間だった。最初はひとりで登場し、ハーモニカとギターをこなしながら歌い上げていた。中盤からベースの湯川トーベン、ドラムの石塚俊明(頭脳警察のTOSHI)が加わってエンケンバンドとなり、更に場内が熱くなった。収録は2週分続けて行われ、この後登場したイースタン・ユースの吉野は、エンケンさんを意識して、足を一歩前に踏み出して演奏するスタイルになったと言っていた。
エンケンさんが闘病中と知らないまま、少し前に『不滅の男 エンケン 対 日本武道館』の映像を観ていた。ギターを前に提げ、アンプを背中にしょって自転車で武道館に乗りつけ、無観客の場内で見えない何かと戦うように鬼気迫るパフォーマンスをし、終えるとまた自転車で去って行った。ライヴで何度も足を運んでいる武道館だが、ちょっと違う空間のように思えた。
日本のロックの巨星が、またひとりほんとうの星になってしまった。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。
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