ジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)@オーチャードホール 2017年10月17日
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Jackson Browne グレン・フライ, ジャクソン・ブラウン, トム・ペティ
約2年半ぶりの来日だが、直前に嬉しい贈り物があった。その前回の日本公演の音源を収録したアルバム『The Road East – Live In Japan』が、リリースされたのだ。演奏はもちろんのこと、曲間の日本語を混じえたMCを聴くにつけ、嬉しい気持ちが抑えられなくなった。そして再び、この感動を体感するのだ。
予定を15分ほど過ぎたところで客電が落ち、バンドを従えるようにしてジャクソンが最初に登場。オープニングは聴き覚えのない曲で、はて未発表曲?と思ったのだが、後で調べてなんとトム・ペティ&ハートブレイカーズの『The Waiting』とわかった。演奏後、この日のライヴをトム・ペティに捧げる、といったようなことを言っていたが、まさかこういうこととは気づかなかった(汗)。
バンドは総勢7人。向かって左から右に、キーボード&コーラス、ベース、ドラム、ギター/ラップスティール/ペダルスティール、女性コーラス2人、大柄のギタリスト。2年半前とほぼ同じメンバーかな。腕利きばかりだが、特に2人のギタリストがフィーチャーされていた。インタビューでジャクソンが絶賛していたのがラップスティールのグレッグ・リーズで、なるほど、この人が発する音色はジャクソンのライヴには不可欠と思える。大柄ギタリストのヴァン・マッカラムも、何度もソロパートを担っていた。
ジャクソンもほぼ1曲毎にギターを替えていて、セミアコありストラトありと、この人のギターを見ているだけでも結構飽きない。黒を基調とした衣装で、シャドウの入ったメガネもしくはサングラスをかけていた。髪はさすがに白さが目立つようにはなったが、それでもこの人は充分若々しい。先週10月9日に、69歳の誕生日を迎えたそうだ。
ピアノを弾きながら歌う『Rock Me On the Water』、前半で演奏するとは思わなかったアッパーな『Looking East』、初期の名バラード『These Days』と、見どころ聴きどころは多い。気負わずリラックスしていながらも緊張感のあるパフォーマンスをしていて、この現役感の源はどこにああるのだろうと思ってしまう。こうして、1時間弱で第1部が終了した。
約20分の休憩を経て第2部へ。盟友のひとりウォーレン・ジヴォンのカヴァーあり、2002年にリリースしたアルバムのタイトル曲『The Naked Ride Home』、イントロの鍵盤のキレのよさが何度聴いても心地いい『Fountain of Sorrow』など、ギアを一段入れてきた感じだ。スパニッシュなアレンジで女性コーラスをフィーチャーした『Lives in the Balance』も見事だった。
さて、ジャクソン・ブラウンのライヴといえば、恒例なのが客席からのリクエストだ。第1部はほぼジャクソン側のペースで進んでいたが(1曲はリクエスト)、第2部ではあの曲この曲といろいろ曲名が飛び交った。自分の思いを一方的にぶつける行為のようでいて、個人的には複雑な思いで見ているのだが、当のジャクソンはこの状況を嫌がっているわけでもなく、むしろ楽しんでいるのではないかと気づいた。リクエストに応えて演奏されたのが、『Call It a Loan』『Love Needs a Heart』だった。
『The Barricades of Heaven』を経て、いよいよ終盤。ピアノに腰掛けてジャクソンが弾いたイントロは、『The Pretender』だった。え、ピアノ!?ワタシがこれまで観てきたこの人のライヴでは、2004年のソロアコースティックを除きギターを手にしていたと思う。2年半前のツアーでは、ワタシが行った日を含めセットリストから落ちた日もあった。それが今回こうだ。クライマックスの重要な局面に、この人は変化を入れてきた。いや、変化というより進化だ。
場内はほぼ着席だったが、ここでスタンディングオベーションに。室温が上がったような感覚だ。そして、『Doctor My Eyes』へ。ジャクソンがピアノを続けるという効率性もあったにせよ、この繋ぎも驚きだ(現時点の定番なのかも)。そして、問答無用の『Running On Empty』。何度体感しても、感激し感動する瞬間だ。キラーチューンをいくつも持っている人だが、この曲は群を抜いている。
あまり間をおかずにアンコールとなるのだが、ここでまたサプライズが。リクエストに応えての『Somebody's Baby』!まさか!?個人的に94年にはじめてこの人のライヴを観て以来、ほぼ毎回の来日公演に足をはこんでいるが、観るのは今回がはじめてだ。ジャクソンにとって最もヒットした曲であるにもかかわらず、なぜかライヴの固定ナンバーにはなっていなくて、不思議で仕方がなかった。でも、もうそんなことはいい。ステージで嬉々としてギターを弾きながら歌うジャクソンの姿を、目に焼き付けるだけだ。
セットリスト
第1部
The Waiting
Some Bridges
The Long Way Around
Rock Me On the Water
Looking East
Farther On(request)
These Days
Just Say Yeah
Your Bright Baby Blues
第2部
Something Fine
Lawyers, Guns And Money
The Naked Ride Home
Fountain Of Sorrow
Lives In The Balance
Call It A Loan(request)
Love Needs A Heart(request)
The Barricades Of Heaven
The Pretender
Doctor My Eyes
Running On Empty
アンコール
Somebody's Baby(request)
Take It Easy
今回は、とにかく日本に来てくれたことが嬉しかった。というのは、この間にこの人の同世代のアーティストたちが次々に旅立ってしまったからだ。グレン・フライ、ウォルター・ベッカー、そして今月はトム・ペティ。そしてライヴは、オープニングにトム・ペティ、中盤にウォーレン・ジヴォン、そしてオーラスにグレン・フライと共作した『Take It Easy』と、要所に盟友たちの曲を組み込んだ構成になっていた。ジャクソン・ブラウンは、盟友たちの魂を背負いながら、きっとこれからも歌い続けるに違いない。
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