エイリアン ディレクターズ・カット(2003年)
言わずと知れた、SFホラー不朽の名作だ。もともとは1979年公開だが、『ディレクターズ・カット』版は、監督であるリドリー・スコットに意に沿うものとして、未公開シーンの追加や既存シーンのカットなどがされている。
宇宙船ノストロモ号は、任務を終えて地球に帰還中、通りかかった星からの救助信号を受信。その星に降りて調査をするが、人の生存はなかった。船員のひとりケインが、顔面をヘルメット越しに異生物に貼り付かれる。船に残っていたリプリーは感染を危惧してケインを隔離しようとするが、ケインを見捨てられない船長は乗船の指示を出し、科学者アッシュがそれに従ってしまう。ケインに張り付いた異生物はその後死んで剥がれ落ちるが、その後皆で食事中、異生物がケインの胸を突き破って飛び出した。
映像にはリマスター処理がされており、画質が格段に向上した。未公開シーンいくつかあると思われるが、その最たるは後半で船長と船員のひとりがエイリアンの繭にされてしまい、死に際の船長の指示でリプリーが繭ごと焼き払うところである。これは、『2』でリプリーがエイリアンが繭を作ることを知っていたかのような発言をしているために、追加されたということらしい。それにしても、宇宙船の船内という言わば「密室」の中で、エイリアンの恐怖にさらされる船員の気持ちは、観ている方にまでじわじわと伝わってくる。
79年版は何度か観ているが、『ディレクターズ・カット』版を観たことで感じたことがある。次々に船員が死んで命令系統が崩れたとき、リプリーが船のマザーコンピュータに直接問いかけるが、これは『2001年宇宙の旅』にアイディアを得たのではないか。また、リプリーの指示が聞き入れられないのは、女性の社会的立場が弱いという風潮を反映しているようにも見える。アッシュがアンドロイドであることは船員には知らされておらず、話の流れの中で船員が気づくという展開は、正直憶えていなかった。ここではアッシュが誤動作を起こしているが、これが『2』でもポイントのひとつになっている。
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