ユリイカ 特集クリストファー・ノーラン
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最終更新日:2021/03/21
クリストファー・ノーラン クリストファー・ノーラン
青土社が出版している、『ユリイカ』という雑誌がある。毎号、サブカルチャーから特定の人物や作品などをピックアップしていて、取り扱うテーマにより、手に取ることにしている。2012年夏には、『ダークナイト・ライジング』公開にリンクするように、監督クリストファー・ノーランを特集した号があった。
どうやら、締め切りが『ダークナイト・ライジング』国内試写前だったらしく、この作品に触れた評はほとんどない。ただその代わり、ノーランのそれまでの作品についての考察がかなり深堀りされていて、観たことのある作品はもとより、まだ観ていない『プレステージ』や『インソムニア』も観てみたくなった。『メメント』を観たのも、実はこの本を読んでいてのことだった。
ノーラン作品に共通するポイントとして、「記憶」があるという指摘が面白かった。『メメント』では、主人公レナードは前向性健忘で記憶が10分しか持たず、『インセプション』は主人公コブとそのチームは、人の意識の中に入り込んで記憶を刷り込むことがミッションになっている。『バットマン・ビギンズ』では、ブルース・ウェインが少年時に目の前で両親を殺害されたことが、トラウマになっている。
映画監督としてのスタンスにも、独特のこだわりがあるようだ。助監督を置かず、必ず自らカメラの横に陣取る。CGの使用は最小限に留め、極力実写で撮影する。『インセプション』での、廊下が回転するシーンも実写。『ダークナイト・ライジング』でのベイルの部隊と警官隊との激闘は、エキストラを数千人動員して撮影したそうだ。
ワタシが初めて観たノーラン作品は『バットマン・ビギンズ』で、このシリーズと『インセプション』『メメント』『インターステラー』『ダンケルク』は観ている。一般的には『ダークナイト』『インセプション』が代表作ということになっていて、確かにどちらも卓越した作品だ。しかしノーランの持ち味は、メジャー作品よりもインディペンデントな作品の方にこそ発揮されている気がしている。いや、インディペンデント性を保持しながら、メジャーにのしあがってきたといえるのかもしれない。
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