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ザ・ハリケーン(2000年)

公開日: : 最終更新日:2025/01/10 デンゼル・ワシントン ,

ザ・ハリケーン(2000年)

実在した黒人ミドル級ボクサー、ルービン・カーターの伝記的作品で、日本でも公開された映画である。”アイアン”マイク・タイソンやイベンダー”リアル・ディール”ホリフィールドのように、”ハリケーン”はルービンのリングネームのことだ。

ルービンは世界チャンピオンにまで上り詰めるが、偏見と人種差別によって殺人犯に仕立て上げられ、終身刑を宣告されて刑務所に放り込まれる。獄中でルービンは自伝を書き、やがて出版される。投獄から16年後、それを読んだ黒人少年が心を動かされてルービンに手紙を書き、やがて面会を果たす。

少年と、彼をサポートする3人の白人はルービンが殺人をできる人ではないことを確信。過去の裁判が人種差別によって虚偽に彩られていたことを知り、調査を重ねて新たな証拠を掴む。再審の結果、ルービンは無罪。無実の罪で投獄されること約20年。ルービンは50歳に達していた。

ルービンを演じるは。今までもマルコムXや『遠い夜明け』のスティーブン・ビコを始め、シリアスな映画で重要な役どころを務めることの多い俳優だ。序盤で差別に耐え反発するその眼光は鋭く、表情はキツい。それが獄中での生活が続くうちにギラギラした危なさは陰を潜めるようになり、柔和な表情に変わってくる。少年との面会シーンは、父と子の対話のようにも見えるのだ。

ワタシがこの作品を見ようと思ったのは、がルービンのことを歌った『Hurricane』がきっかけである。この曲は、映画の中で3度流れる。1度目は、獄中でルービンが自伝を書いている場面。2度目は、ルービン釈放を訴える運動のひとつとして、ほんの数秒ではあるがボブ・ディランがコンサートで歌うシーンで。3度目は、ラストでルービンが無罪を勝ち取り、裁判所の前で会見する場面でだ。

劇中、ルービンが言ったことばのひとつがワタシの中に強く残った。かつては拳で人を殴っていたが、書くことがそれ以上の力を持つことに気付いた、と。

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