トータス(Tortoise)@Greenroom Festival
奥田民生の大混雑ぶりとは対照的に、開始15分前にして最前列がとれてしまうという、フェスティバルのヘッドライナーとしてこの状況はどうか?という複雑な気にさせられた。がしかし、彼らのライヴはそんなもやもやなどあっさり吹き飛ばす、圧巻のプレイだった。
観るのは、2011年ビルボードライヴ以来。そのときはジョン・マッケンタイアが中軸にいてバンドをコントロールしているイメージだったが、今回は少し様相がちがった。ライヴは、『Prepare Your Coffin』でスタート。ジョンは力まずナチュラルに叩いているように見えるのだが、ビートは鋭くそして重い。そして恐らく、メンバーが本来の持ち場でプレイしたのはこのときくらいだった。
この後、メンバーの持ち場は目まぐるしく変化した。ダブル鉄琴、ダブルベース、トリプルキーボード。恐らくだが、メンバー5人のうち、白いヒゲのベーシスト以外の4人は複数の楽器をこなしていたと思う。楽器のチェンジは曲間だけでなく、演奏の最中にもされることがあった。中でも圧巻はダブルドラムで、2人が繰り出すビートのズレがすさまじく、しかし、時にビートがシンクロすることも何度かあるという、信じられない瞬間があった。
ライヴは、約1時間で終了。最後に新譜のアナログ盤をフロアに投げ入れ、メンバーはステージを後にした。日没後のライトアップされた場内は神秘的な空間になっていて、横浜港を臨める景観のよさもあり、この環境も彼らのパフォーマンスを後押ししていたと思う。個人的には、去年のフジロックがベックとまるかぶりで観られなかったのだが、この場でリベンジを果たすことができ、満たされた気持ちでいっぱいだ。
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