チャック・ベリー(Chuck Berry)『ヘイル! ヘイル! ロックンロール』(1987年)
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Chuck Berry エリック・クラプトン, キース・リチャーズ
1986年のチャック・ベリー60歳バースデイ・コンサートを収録した、ドキュメンタリー映画だ。
チャック本人が、幼い頃の自分やデビューした頃を回想するところから始まり、バースデイ・コンサートの準備をするところが前半の中心となる。合間にはチャックと同世代のアーティストや、チャックを敬愛するアーティストのインタビューが挿入されている。
ブルース・スプリングスティーンはチャックのオープニングアクトを務めていたことがあったが、あるときチャックのバンドが到着せず、急遽自分たちがチャックのバックを務めることになったときのことを、嬉しそうに話す。チャックはバックが誰だったかは憶えていないだろうが、自分はおじいさんになったときに孫に自慢するんだと語るその表情は、まるで子供のようだ。
この映画の音楽監督を務め、バースデイ・コンサートの全面バックアップを買って出ているのが、キース・リチャーズだ。結構年齢差があるはずなのだが、キースはチャックのことを友人のように思っているようだ。リハーサルで、死んだ後もこのライヴは映像として残るんだぞとキースはチャックを叱咤するが、当のチャックはオレが簡単に死ぬかと言って返す。このやりとりは、見ていてとても微笑ましい。
後半は、いよいよバースデイ・コンサート本番。キースは全曲でバックバンドのギターを務め、エリック・クラプトンを始め多くのゲストが1曲ずつチャックと共演する。バンドは、チャック・リーヴェルやボビー・キーズなど、ストーンズのツアーメンバーの顔が見られる。ドラムはスティーヴ・ジョーダンだった。
もちろん主役はチャックだが、個人的にはキースに注目した。タキシード姿が、まず新鮮。そして、ストーンズにおいてさえ周囲に気を遣わせる(と思われる)キースが、チャックに気を遣い、一歩引いてチャックを立てているのだ。
活動の初期は白人マネージャーに搾取され、そのため人一倍カネにがめつくなり、簡単には人を信用しなくなってしまったチャック。しかし、多くの黒人アーティストたちがそうした境遇や心情を歌詞や曲に込めていたところ、チャックはそうはしなかった。学校やクルマやガールフレンドなど、もっと身近なことをテーマにして曲を書き、ギターを弾きながら歌った。そのアプローチは、人種の壁を越えて多くの若者を動かす、ロックン・ロールの原石となったのだ。
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