渡瀬恒彦さん死去
俳優の渡瀬恒彦さんが14日に亡くなられた。死因は胆のうがんで、72歳だった。
近年は2時間ドラマをはじめテレビドラマへの出演が多い印象があるが、個人的には映画の人だった。『仁義なき戦い』シリーズや『激動の1750日』といったやくざ映画。『化石の荒野』『セーラー服と機関銃』などの角川映画。大作『敦煌』。。。主役を張れる人だが、脇に回って存在感を放つこともできた。
ワタシが最初に渡瀬さんを観たのは、『戦国自衛隊』だと思う。自衛隊の一個師団が訓練中に突如戦国時代にタイムスリップしてしまい、戦国乱世の戦いに巻き込まれていくというストーリーだ。千葉真一演じる自衛隊リーダー伊庭と、夏八木勲演じる長尾景虎のダブル主演だが、渡瀬さんは伊庭に反発する部下の矢野を演じていた。
矢野は意に沿う仲間を連れて隊を離れ、現地の村で略奪を行う。伊庭は説得するも矢野は聞き入れず、やむなく矢野を射殺。言ってみれば仲間割れなのだが、渡瀬さんのとんがった演技は千葉真一と対等に渡り合い、引き締まった空気が漂っていた。この後、伊庭は昭和の世界で意味のない訓練をするよりも、戦国の世で天下を取りたいという欲を見せ、大勢の武田信玄の軍との戦いに臨む。
実兄の渡哲也をはじめ、同世代の俳優たちがまだまだ気を吐いている中、旅立ってしまったのは残念。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。
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